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[SSS10-P18] 岡山県の稠密地点におけるサイト増幅特性
キーワード:サイト増幅特性、強震動、スペクトル・インバージョン、岡山県
地震動は震源特性, 伝播経路特性, サイト増幅特性の3つの要素によって特徴づけられる. 過去には, 岡山県の稠密な観測点で得られた強震記録から, スペクトル・インバージョンによって上述の3つの要素を分離し, 各観測点におけるサイト増幅特性を抽出した(畝岡・他, 2018, JpGU; 畝岡・他, 2018, 地震学会秋季大会). 本研究では, 最近の地震の記録を加えてイベント数をこれまでの約2倍に増やして再びスペクトル・インバージョンを実施し, より安定で精度の高いサイト増幅特性を求めた. 使用した観測点は防災科学技術研究所のK-NET, KiK-net, 気象庁震度観測点, 岡山県震度情報ネットワークの自治体震度観測点, 岡山理科大学の震度観測点の計121点, 地震は4.0 ≦ MJMA ≦ 6.3の計20イベントである. 使用する波形記録は3成分加速度波形で計1470本である. 対象とする周波数帯域はこれまでの0.1~10 Hzから0.1~20 Hzに広げた. スペクトル・インバージョンに必要な基準観測点のサイト増幅特性には仲野・他(2014)が推定した県中部のKiK-net観測点OKYH05(建部)を採用し, 各地点における地震基盤からのサイト増幅特性を求めた. その際, 同時に得られた震源特性はω-2モデルに適合しており, 伝播経路特性のQ値は既往研究で得られている岡山県を含む西日本の平均的なQ値と整合的であることを確認した. 求まったサイト増幅特性には, 以下の特徴がみられる. 県南部の観測点の多くは, その増幅率が1~3 Hzで10倍以上となる山なりの形状を示す. 一方, 全観測点の約7割を占める県中部と北部の観測点の増幅率に目立ったピークはなく, 増幅率が1で平坦な状態から1 Hz以上で徐々に増加していく傾向である. また, 県北の蒜山地域と県南の児島湾周辺では, 1 Hz以下に10倍以上の増幅率をもつ観測点が存在する. これらの特徴は県南部には干拓地が広がり軟弱な堆積層が広く分布する一方で, 県中部と北部では吉備高原や中国山地が広がり地震基盤面が比較的浅いことに対応している. また, 蒜山地域では厚い珪藻土層が堆積しており, 児島湾周辺については重力探査や深層ボーリング調査等の結果からこの地域の地盤が比較的に厚いことが示唆されている.
謝辞:防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net, 気象庁, 岡山県震度情報ネットワークシステム及び岡山理科大学の震度観測点で得られた強震動波形記録を使用しました. 本研究の一部は, 東京大学地震研究所・京都大学防災研究所拠点関連携共同研究プログラムの援助を受けています.
謝辞:防災科学技術研究所のK-NETとKiK-net, 気象庁, 岡山県震度情報ネットワークシステム及び岡山理科大学の震度観測点で得られた強震動波形記録を使用しました. 本研究の一部は, 東京大学地震研究所・京都大学防災研究所拠点関連携共同研究プログラムの援助を受けています.