[S-SS11] 活断層と古地震

[SSS11-08] 島根県浜田市周辺で報告されているリニアメントの断層露頭と地質学的断層変位

*信川 昂太朗^1,2、向吉 秀樹² (1.名古屋大学大学院環境学研究科、2.島根大学総合理工学部)

キーワード：活断層、リニアメント、断層露頭、山陰ひずみ集中帯

山陰地方にはひずみ集中帯が存在するが, 本地域で報告されている活断層の数はほかの地域に比べて少なく, 今後地質調査を進めて, それぞれ活断層の活動性を議論すべき地域の一つである. 山陰地方西部に位置する島根県浜田市後野町付近には, 地形判読によって長さ約5kmの東北東-西南西走向の推定活断層が報告されている(今泉ほか編, 2018)が, 当推定活断層に該当する断層露頭の報告はない. また, 推定活断層の北側約500mでは逆断層露頭が報告されている.
本研究では浜田市後野町付近で報告されている推定活断層周辺の地質調査によって, 推定活断層の断層露頭の特定および, 逆断層の成因について議論した. 作成した地質図および確認した断層露頭にみられる複合面構造等の断層構造記載によって, 断層は右横ずれ断層活動によって形成されたと判断した. また, 地質図および地質断面図から, 逆断層は北北東-南南西走向に少なくとも約2km延びていると判断した. さらに, 報告されていた逆断層露頭の西方約340mの位置に別の逆断層の存在が岩相分布から推測された. これら2条の逆断層は, 東西の圧縮応力場によって形成されたと考えられる. 推定活断層と逆断層の関係性については, 2条の逆断層が推定活断層を境に右側に数10m変位していることから, 逆断層が活動した後に推定活断層が活動したと考えられる. 先に活動したと考えられる逆断層が更新世の堆積層を変位させているため, 推定活断層および逆断層は第四紀以降の応力場で活動しており, 今後も活動すると考えられる.