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[SSS11-09] 小郡断層海域延長部における活断層調査
キーワード:小郡断層、海底活断層調査、周防灘、反射法音波探査、海上ボーリング調査
小郡断層は山口県山口市吉敷から宇部市の沖合にかけて分布する約31 kmの活断層で,西側隆起の成分を伴う右横ずれ断層である(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2016).小郡断層の陸上部分は地理院活断層図(後藤ほか,2021;楮原ほか,2021)に示されており,水野ほか(2003)や金折ほか(2006)に宇部東部断層および下郷断層として記述されている断層に相当する.地震調査研究推進本部地震調査委員会(2016)によれば,小郡断層の南端は宇部市沖合の海域(周防灘)に推定されている.宇部市沖合の海域には,小郡断層,宇部南方沖断層,菊川断層帯(南部区間)が近接して分布しており,沿岸海域における地震災害の予測・軽減に向けて,これらの活断層帯で発生する地震の規模・発生確率や地震に伴う地表変形の評価は重要な課題である.しかしながら,宇部市沖合の海域に分布する第四紀層の層序や堆積環境に関する情報が不足していることに加え,上述のように複雑な地質構造を検討するのに十分な密度・分解能の探査が実施されていない.小郡断層(宇部東部断層)の過去の活動に関しては,小松原ほか(2005)および相山・金折(2011)がトレンチ調査等による検討を行っている.小松原ほか(2005)によれば,最新活動時期は13,300年前〜17世紀であった可能性があるが,将来の地震発生確率を精度良く求めるために最新活動時期をさらに絞り込むことが重要である.
こうした背景のもと,産総研では「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備」の一環として,2022年度から周防灘(宇部市沖合の海域を含む)を対象とした海底活断層調査を実施している.2022年度にはブーマーおよびmini GI-gunを音源としたマルチチャンネル反射法音波探査等を実施し,小郡断層の海域延長部に完新統に至る第四系を累積的に撓曲変形させる地質構造が発達していることを明らかにした(大上ほか,2023).この撓曲の発達過程の解明に向けて,音源にSES2000を用いたSBP探査を実施し,完新統の変形を高分解能で検討可能な探査記録を取得した.また,2023年度には,探査記録断面に年代軸を入れて活動履歴および活動性を具体的に検討するため,撓曲崖の低下側における1地点で掘削長45 mの海上ボーリング調査を実施した.本発表では,反射法音波探査記録と海上ボーリング調査の暫定的な分析結果にもとづいて,海底活断層調査にもとづく小郡断層の活動履歴および活動性について議論する.
引用文献
相山・金折(2011)応用地質
後藤ほか(2021)1:25,000活断層図「宇部東部」.
地震調査研究推進本部地震調査委員会(2016)大原湖断層・小郡断層の長期評価.
楮原ほか(2021)1:25,000活断層図「山口」.
金折ほか(2006)応用地質.
小松原ほか(2005)活断層・古地震研究報告.
水野ほか(2003)活断層・古地震研究報告.
大上ほか(2023)JpGU2023.
こうした背景のもと,産総研では「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備」の一環として,2022年度から周防灘(宇部市沖合の海域を含む)を対象とした海底活断層調査を実施している.2022年度にはブーマーおよびmini GI-gunを音源としたマルチチャンネル反射法音波探査等を実施し,小郡断層の海域延長部に完新統に至る第四系を累積的に撓曲変形させる地質構造が発達していることを明らかにした(大上ほか,2023).この撓曲の発達過程の解明に向けて,音源にSES2000を用いたSBP探査を実施し,完新統の変形を高分解能で検討可能な探査記録を取得した.また,2023年度には,探査記録断面に年代軸を入れて活動履歴および活動性を具体的に検討するため,撓曲崖の低下側における1地点で掘削長45 mの海上ボーリング調査を実施した.本発表では,反射法音波探査記録と海上ボーリング調査の暫定的な分析結果にもとづいて,海底活断層調査にもとづく小郡断層の活動履歴および活動性について議論する.
引用文献
相山・金折(2011)応用地質
後藤ほか(2021)1:25,000活断層図「宇部東部」.
地震調査研究推進本部地震調査委員会(2016)大原湖断層・小郡断層の長期評価.
楮原ほか(2021)1:25,000活断層図「山口」.
金折ほか(2006)応用地質.
小松原ほか(2005)活断層・古地震研究報告.
水野ほか(2003)活断層・古地震研究報告.
大上ほか(2023)JpGU2023.