日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 活断層と古地震

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、佐藤 善輝(産業技術総合研究所 地質情報研究部門 平野地質研究グループ)、矢部 優(産業技術総合研究所)、安江 健一(富山大学)

17:15 〜 18:45

[SSS11-P05] 阿寺断層におけるUAVレーザ測量の適用

*安江 健一1、細矢 卓志2中瀬 千遥2後藤 慧2 (1.富山大学、2.中央開発株式会社)

キーワード:活断層、阿寺断層、UAV

はじめに
樹木などの植生の高さを取り除いくことができる航空レーザ測量のデータは,森林内の断層変位地形を判読する際に有効である.さらに,より詳しく把握したい場所で迅速に航空レーザ測量を行うには,レーザ測量機器を搭載したUAV(以下,UAVレーザ測量)が有力である.本研究では,このUAVレーザ測量を阿寺断層において実施し,計測データを解析して地表面の形状を表現し,断層変位地形を判読した.

調査結果
 計測地点は,岐阜県東部に分布する左横ずれ活断層の阿寺断層の北部から中部において,5地点設定した.これらの地点は,針葉樹が生い茂っており,空中写真からでは微小な断層変位地形を認定することが困難である.計測において,UAVはDJI社製Matrice 300 RTK,レーザ測量機器はZenmuse L1 を使用した.できるだけ隙間なくデータを採取するため,測量範囲を折り返しながら連続的に計測を行った.計測データから建物や樹木などの地物を取り除いて地表面の形状を表現した結果,数十センチメートルから数メートルの崖・谷の屈曲・細溝のずれ・分離丘などが判読できる図が得られた.また,阿寺断層の一般走向に低角で斜交するリニアメントも判読できた.これらの地形から活断層の詳細な位置を明らかにすることができた.また,計測地点周辺の地形・地質踏査を行ったところ,上述した微小な断層変位地形を観察するとともに,幅数mの小規模な湿地を断層沿いに確認した.また,破砕帯が広く分布しており,基盤岩中に粘土を伴う断層面を複数箇所で確認した.

おわりに
阿寺断層北部から中部において5地点でUAVレーザ測量を実施し,微小な断層変位地形を判読し,活断層の詳細な分布を明らかにした.また,これらの地形や周辺の地質構造を現地で確認した.このように,UAVレーザ測量を用いることで効率的な活断層調査が可能である.今後は,断層沿いで掘削調査等を行い,活動履歴を明らかにしていく予定である.本研究は,JSPS科研費 JP23K04326の助成を受けたものである.