[S-SS11] 活断層と古地震

[SSS11-P09] 2016年熊本地震で益城町の低地に生じた並走断層群を横断する反射法地震探査

*青柳 恭平¹、上田 圭一¹、竹本 哲也²、末廣 匡基²、宮脇 理一郎² (1.電力中央研究所、2.阪神コンサルタンツ)

キーワード：2016年熊本地震、地表地震断層、スリップパーティショニング、地下構造

2016年熊本地震に伴って益城町の木山川沖積低地周辺に生じた4条の地表地震断層を横断して反射法地震探査を実施し、断層の地下形状と相互関係を明らかにした。これらの地表地震断層のうち3条は、ENE-WSW方向にほぼ並走している。すなわち、低地南縁に沿う右横ずれ断層（断層Fb）、南側山麓に生じた正断層（断層Fa）、平野北部を横断する右横ずれ断層（断層Fc）である。断層Faと断層Fbは、断層変位地形によって認定され、既存の活断層図に記載されていた布田川断層に対応する。一方、断層Fcは地形的には認められていなかった。４番目の地表地震断層（断層Fx）は、前述したENE-WSW走向の断層群とは高角に斜交しており、沖積低地を横切って、断層Fbから断層Fcへと延びる左横ずれ断層である。反射法地震探査の結果、沖積低地の下に断層FbとFcに囲まれた盆状構造が確認された。また、鉛直に近い右横ずれ断層Fbと北に傾斜した正断層Faが深さ350m付近で収れんしている様子が捉えられた。さらに、断層Fcはその位置と南側が低下する地下構造から、木山断層の可能性がある。各断層の地震時変位量と地下形状を比較すると、北に傾斜した震源断層の斜めすべりが、地表では３条の並走する断層群に分配されている可能性が浮き彫りになった。すなわち、活断層調査による地震ハザード評価において、並走断層群が一定の範囲に存在する場合には、各断層に変位量が分配されている可能性を考慮して、震源断層のすべり量を総合的に評価することが重要である。

注：本成果は、「地震」に投稿中の内容である。

謝　辞
本研究は、電力受託研究「破砕部性状等による断層の活動性評価手法の高度化に関する研究」によって行われた成果の一部である。