11:30 〜 11:45
[STT36-09] 光ファイバDASと微動探査による地盤モニタリング手法の開発(その2)
キーワード:光ファイバ、DAS、微動探査、地盤
1.はじめに
大都市が立地する堆積平野の地盤リスク評価手法の高度化を目指し、光ファイバDASと微動探査の融合による高密度・高精度な広域での詳細地盤モニタリングのための基礎的・基盤的な技術開発を実施している。光ファイバDASによる地盤振動の高密度計測、微動探査や地震波干渉法と融合した解析手法の開発、及び、長期間連続モニタリング技術に関しての検討を実施した。
2.光ファイバDASによる地盤振動の高密度計測調査
つくば市内のテストサイトにおける光ファイバDASによる地盤振動計測データを用いて拡張空間自己相関法および地震波干渉法を用いて表面波位相速度を求め、2次元地盤構造モデルを推定した。光ファイバ周辺において実施した微動計を用いた3次元微動探査の結果と比較したところ、位相速度データは概ね整合的であった。
また、2023年9月より国道6号線および50号線において光ファイバDASによる地盤振動計測を実施した。それぞれの計測期間は13日及び10日間である。ゲージ長9.6m、チャンネル間隔4.8mと設定し、測定距離は国道6号線で56.7㎞、50号線で62.8㎞である。計測器は、それぞれ土浦国道出張所、岩瀬国道出張所に設置した。時刻0時から30分間のデータを約10日間分用いて、地震波干渉法解析を実施した。国道6号、50号線沿いで過去に実施されている極小微動探査による位相速度と比較し、一部の観測点を除いて整合的な結果を得ることができた。整合的な結果が得られていない観測点については、今後表面波探査、微動探査を実施し、原因を調査する予定である。
3.光ファイバDASと地震波干渉法を組みあわせた解析手法の開発
光ファイバDASと地震波干渉法を組み合わせた解析手法を開発した。具体的には、表面波探査で用いられている共通中点重合法を光ファイバDAS記録の地震波干渉法データに適用したものである。以下に解析方法の概要を記す。
観測されたデータを50chごとに分割し、毎日午前0時から30分間の波形を用いて、各トレース間の相互相関関数を計算する。その相互相関関数を測定日分重合した。さらに、相互相関関数データについて考えられる全ての2トレースの組みあわせに対して相互相関関数を計算し、2トレースの中間点が同じ場所となる全ての相互相関関数を集める。ここで、同じ受振点間隔のものについては重合した。中間点位置が25m(ビンサイズ)以内に位置しているものを集めて受振点間隔に応じて並べた。共通中点重合法を用いることにより仮想振源から伝播する表面波の波群や位相速度を明瞭に確認することができ、ノイズの低減効果があることを確認することができた。本手法を適用することにより、ファイバ直下の2次元S波速度構造を推定することができた。
4.光ファイバDAS による長期間連続モニタリング技術の検討
光ファイバDAS計測において長期間の連続かつリアルタイムなモニタリングを目的としたシステムのプロトタイプを構築した。プロトタイプは、計測サイト内にて稼働しノイズリダクションおよびダウンサンプリングを行うエッジ処理とデータセンタ内にて稼働しデータの蓄積および検索を行うストレージ処理で構成される。国道6号線および50号線で計測したデータを用いて、実計測間隔でデータをプロトタイプへ入力する実証実験を行った。計測サイトへ設置することを見込み標準的な性能を有するデスクトップPC(HP EliteDesk 800 G4 SFF)を使用した。リアルタイムに処理を行うためには、時系列データのデータ長未満でエッジ処理の入力から出力までを完了する必要がある。データ長60秒ファイルを入力とした実験により、データ長未満でエッジ処理を実行完了できることを確認した。インテロゲータの出力がファイル形式であるため、処理単位がファイルに依存し潜在的な遅延を有している。リアルタイム性を向上させるためインテロゲータのデータ仕様に対する要望も検討する予定である。
謝辞:本研究は防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」の一環として行われた。
大都市が立地する堆積平野の地盤リスク評価手法の高度化を目指し、光ファイバDASと微動探査の融合による高密度・高精度な広域での詳細地盤モニタリングのための基礎的・基盤的な技術開発を実施している。光ファイバDASによる地盤振動の高密度計測、微動探査や地震波干渉法と融合した解析手法の開発、及び、長期間連続モニタリング技術に関しての検討を実施した。
2.光ファイバDASによる地盤振動の高密度計測調査
つくば市内のテストサイトにおける光ファイバDASによる地盤振動計測データを用いて拡張空間自己相関法および地震波干渉法を用いて表面波位相速度を求め、2次元地盤構造モデルを推定した。光ファイバ周辺において実施した微動計を用いた3次元微動探査の結果と比較したところ、位相速度データは概ね整合的であった。
また、2023年9月より国道6号線および50号線において光ファイバDASによる地盤振動計測を実施した。それぞれの計測期間は13日及び10日間である。ゲージ長9.6m、チャンネル間隔4.8mと設定し、測定距離は国道6号線で56.7㎞、50号線で62.8㎞である。計測器は、それぞれ土浦国道出張所、岩瀬国道出張所に設置した。時刻0時から30分間のデータを約10日間分用いて、地震波干渉法解析を実施した。国道6号、50号線沿いで過去に実施されている極小微動探査による位相速度と比較し、一部の観測点を除いて整合的な結果を得ることができた。整合的な結果が得られていない観測点については、今後表面波探査、微動探査を実施し、原因を調査する予定である。
3.光ファイバDASと地震波干渉法を組みあわせた解析手法の開発
光ファイバDASと地震波干渉法を組み合わせた解析手法を開発した。具体的には、表面波探査で用いられている共通中点重合法を光ファイバDAS記録の地震波干渉法データに適用したものである。以下に解析方法の概要を記す。
観測されたデータを50chごとに分割し、毎日午前0時から30分間の波形を用いて、各トレース間の相互相関関数を計算する。その相互相関関数を測定日分重合した。さらに、相互相関関数データについて考えられる全ての2トレースの組みあわせに対して相互相関関数を計算し、2トレースの中間点が同じ場所となる全ての相互相関関数を集める。ここで、同じ受振点間隔のものについては重合した。中間点位置が25m(ビンサイズ)以内に位置しているものを集めて受振点間隔に応じて並べた。共通中点重合法を用いることにより仮想振源から伝播する表面波の波群や位相速度を明瞭に確認することができ、ノイズの低減効果があることを確認することができた。本手法を適用することにより、ファイバ直下の2次元S波速度構造を推定することができた。
4.光ファイバDAS による長期間連続モニタリング技術の検討
光ファイバDAS計測において長期間の連続かつリアルタイムなモニタリングを目的としたシステムのプロトタイプを構築した。プロトタイプは、計測サイト内にて稼働しノイズリダクションおよびダウンサンプリングを行うエッジ処理とデータセンタ内にて稼働しデータの蓄積および検索を行うストレージ処理で構成される。国道6号線および50号線で計測したデータを用いて、実計測間隔でデータをプロトタイプへ入力する実証実験を行った。計測サイトへ設置することを見込み標準的な性能を有するデスクトップPC(HP EliteDesk 800 G4 SFF)を使用した。リアルタイムに処理を行うためには、時系列データのデータ長未満でエッジ処理の入力から出力までを完了する必要がある。データ長60秒ファイルを入力とした実験により、データ長未満でエッジ処理を実行完了できることを確認した。インテロゲータの出力がファイル形式であるため、処理単位がファイルに依存し潜在的な遅延を有している。リアルタイム性を向上させるためインテロゲータのデータ仕様に対する要望も検討する予定である。
謝辞:本研究は防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」の一環として行われた。