12:00 〜 12:15
[SVC26-12] 火山の地形を考慮した地殻変動計算手法による伊豆大島の地殻変動源解析
キーワード:伊豆大島、地殻変動、GNSS
火山の火口周辺に設置された地殻変動観測点で得られる地殻変動データは,地下浅部の火山活動を評価する上で重要である.近年,気象庁では全国の常時監視火山へのGNSSや傾斜計などの地殻変動観測点の整備が進み,圧力源が地下浅部に推定されるような地殻変動データが捉えられるようになってきている.火口周辺の地殻変動観測点は急峻な火山地形の上に設置されているため,観測される地殻変動データは地形形状の影響を受けており,変動源解析においてその影響を考慮することは重要である.これまで,火山の地形を考慮した地殻変動を数値計算によって求めるプログラムの開発を進めてきた.伊豆大島を対象として開発しているプログラムにより浅部圧力源の推定結果に山体地形が与える影響を調べたところ,圧力源が海面付近より浅い場合には,地形を考慮しないで地殻変動源を求めると圧力源の深さが浅めに推定されることが分かった(川口,2023・JpGU).本発表では,気象研究所が伊豆大島で実施しているGNSS連続観測データにこのプログラムを適用して,三原山山頂直下浅部の圧力源を推定した結果について報告する.
気象研究所では,伊豆大島の島内に多数のGNSS観測点を設置して,火山活動に伴う地殻変動の観測を実施している.このうち,三原山の山頂火口周辺では現在3点の連続観測点が設置されている.各観測点で得られる観測データからBernese5.2を用いた解析で求めた日々の座標値を用いて地殻変動源の解析を行った.
地形を考慮した地殻変動計算プログラムは,境界要素法により任意の火山体地形および圧力源形状での地殻変動を数値計算で求めることができる.数値計算に必要な山体地形のメッシュモデルは国土地理院の10 mメッシュの数値標高モデルなどから作成した.地殻変動の圧力源として球状圧力源および楕円体圧力源を設定した.
三原山山頂周辺の観測点では,観測点間の基線長の短縮およびカルデラ縁の観測点に対して比高が沈降する傾向が一定の変化率で継続している様子が観測されており,三原山の山頂直下浅部に収縮源があると考えられる.このような観測データの変化率を説明できる圧力源の推定を試みた.三原山の山頂直下に圧力源を仮定し,数値計算結果から観測点間の基線長とカルデラ縁に対する比高の変化率を求め観測データと比較した.その結果,球状圧力源の場合,収縮源を海面下200-300 mの深さとした場合に観測データの基線長と比高の変化率を説明できた.このとき体積変化率は-4×104 m3/yrとなった.また,楕円体圧力源の場合,水平軸が長いシル状の圧力源では,球状圧力源の場合よりも浅い海面下0m付近に圧力源を設定することで観測データの基線長と比高の変化率は説明できることが分かった.
気象研究所では,伊豆大島の島内に多数のGNSS観測点を設置して,火山活動に伴う地殻変動の観測を実施している.このうち,三原山の山頂火口周辺では現在3点の連続観測点が設置されている.各観測点で得られる観測データからBernese5.2を用いた解析で求めた日々の座標値を用いて地殻変動源の解析を行った.
地形を考慮した地殻変動計算プログラムは,境界要素法により任意の火山体地形および圧力源形状での地殻変動を数値計算で求めることができる.数値計算に必要な山体地形のメッシュモデルは国土地理院の10 mメッシュの数値標高モデルなどから作成した.地殻変動の圧力源として球状圧力源および楕円体圧力源を設定した.
三原山山頂周辺の観測点では,観測点間の基線長の短縮およびカルデラ縁の観測点に対して比高が沈降する傾向が一定の変化率で継続している様子が観測されており,三原山の山頂直下浅部に収縮源があると考えられる.このような観測データの変化率を説明できる圧力源の推定を試みた.三原山の山頂直下に圧力源を仮定し,数値計算結果から観測点間の基線長とカルデラ縁に対する比高の変化率を求め観測データと比較した.その結果,球状圧力源の場合,収縮源を海面下200-300 mの深さとした場合に観測データの基線長と比高の変化率を説明できた.このとき体積変化率は-4×104 m3/yrとなった.また,楕円体圧力源の場合,水平軸が長いシル状の圧力源では,球状圧力源の場合よりも浅い海面下0m付近に圧力源を設定することで観測データの基線長と比高の変化率は説明できることが分かった.