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[SVC26-17] 安達太良山沼ノ平火口における浅部熱水系の解明
キーワード:安達太良山、MT法、比抵抗構造、熱水系
福島県中部に位置する安達太良山沼ノ平火口では、過去に水蒸気噴火が繰り返し発生しており、1996年~2003年には、噴火に至らなかったものの熱泥噴出や噴気の活発化が確認されている。1996年~2003年における活発化を背景に行われた観測では、顕著な地殻変動や全磁力及び重力変化(山本ほか, 2008)などが確認され、同火口の地下に活発な熱水系が形成されていることが示唆された。しかし、火口周辺の詳細な地下構造調査は行われていないため、これらの活動がどのような地下構造により発生したのか明らかになっていない。そこで本研究では、2023年8月25日~9月3日に同火口内及びその周辺においてaudio-frequency magnetotelluric(AMT)法調査を実施した。観測点は沼ノ平火口底とその周辺における25点で、5成分観測を実施したのが火口底を中心に8点、急俊な地形のため電場2成分のみの観測を実施したのが17点であった。そのうち1点は同火口から西へ2.8 kmの地点で期間中連続してデータを取得し、リモートリファレンス処理の参照点として用いた。また、電場2成分観測点においては、同時に測定した近隣の5成分観測点の磁場データを用いて解析を行った。基本的には夜間(20時~6時の10時間分)のデータを用いて応答関数を推定したが、2成分観測点の中には昼間の約1時間分のデータを使用して応答関数を推定した観測点もある。その結果、10観測点は1 Hz~10000 Hz、14観測点は3 Hz~10000 Hzで概ね良好な応答関数を得ることができた。推定された応答関数を用いて、3次元比抵抗構造をインバージョンコードFEMTIC(Usui, 2015; Usui et al., 2017)により推定した。得られた3次元比抵抗構造から、南西深部方向から沼ノ平火口底に延びる低比抵抗領域が火口底の表層付近で枝分かれするような特徴的な構造が得られた。
本発表では推定された浅部比抵抗構造と先行研究で推定された様々な変動ソースとの関係について議論する。
本発表では推定された浅部比抵抗構造と先行研究で推定された様々な変動ソースとの関係について議論する。