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[SVC27-09] 防災・減災のための火山ハザード情報システムの構築
キーワード:ハザード、火山、防災、デジタル化、降下テフラ
産総研地質調査総合センターでは,「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」プロジェクトを推進している.本プロジェクトでは,防災計画に資する活断層・火山情報等の解析・評価,集約・情報提供対策のため,(1) 噴火口図・火口位置図データベースの作成,(2) 活断層データの高精度化,(3) 斜面災害リスク評価のためのデータ作成,(4) 海洋地質関連のデジタル化,(5) 各種地質情報のDX化の推進等を進めている.ここでは,各種地質情報のDX化として進めている総合ハザード情報システムプロジェクトのうち,火山ハザード情報システム構築プロジェクトについて紹介する.
火山ハザード情報システム
火山噴火においては,噴火開始後,噴火地点,噴火様式,噴火規模,噴出物の影響範囲等が変動することが多い.そのため,条件を変えながら検討ができるリアルタイムハザード評価システムが必要とされている.また,降下テフラ,火砕流,岩屑なだれの噴出物分布のデジタルデータ(GISデータ)の整備も,ハザード・リスク評価においては重要である.さらに,ハザード評価のためには,噴出物の噴出量を迅速に解析できるシステムが必要とされている.そこで,火山ハザード情報システムプロジェクトでは,(1) オンラインシミュレーション機能によるリアルタイムハザード評価,(2) 主要火山における噴火パラメータ解析,(3) 降下テフラ,火砕流,岩屑なだれ等の火山噴出物分布データのデジタル化,(4) 降下テフラオンライン噴出量解析機能,(5) 火口分布図の表示検索機能,(6) 火山関連データベースとの連携機能を目指し開発を進めている.
オンラインシミュレーションとパラメータ解析
火山ハザード情報システム(図)では,ASTER GDEMと国土地理院10 mメッシュDEMにより,全世界の約3,300の第四紀火山について,Energy Cone, Titan2D, Tephra2モデルによるオンラインシミュレーションが可能となっている.シミュレーション結果をAPIにより他のサーバーやWebアプリケーションで利用できる機能が追加されており,より迅速に噴出物シミュレーションの表示比較,準リアルタイムハザード評価が可能となっている.また,主要火山の噴火パラメータの解析事例をリスト化して示す事で,過去の噴火や他の火山の噴火との比較検討に加えて,噴火開始後もより迅速に適切なパラメータを設定し,影響評価や今後の推移予測等に役立てることが可能である. 2024年2月時点で,国内外の火山について,Energy Coneモデル138ケース,Tephra2モデル62ケース,Titan2Dモデル50ケース,合計250ケ―スの解析結果の噴火パラメータを示している.これらのシミュレーション結果については,WMS (Web Mapping Service)によるAPIを使って,他のサーバー上やQGIS等のGISソフト,Google Map上等での表示が可能である.
火山噴出物分布のデジタル化
降下テフラ,火砕流堆積物,岩屑なだれ堆積物等の火山噴出物分布のGISデータの整備公開は,火山噴火によるハザード・リスク評価を行うために必要不可欠である.そのため,国内の主要な噴火の噴出物の分布について,順次デジタル化(GIS化)を進めている.2024年2月時点で,羅臼,摩周,屈斜路,十勝,有珠,洞爺,樽前,羊蹄,濁川,北海道駒ヶ岳,八甲田,十和田,浅間,富士,霧島,桜島,姶良,阿多,口永良部島,カルブコ,ケルート火山等において,150噴火以上の降下テフラの等層厚線図のデジタル化を行っている.今後,さらに火山噴出物のデジタル化,閲覧検索システムへのデータ登録を進めると共に,ShapefileやKMLファイルのダウンロード,APIによるデータ配信を進める予定である.
降下テフラのオンライン噴出量解析
区間積分法(宝田ほか,2001; Takarada et al., 2016),Exponential法 (Pyle, 1989),Power Law 法(Bonadonna and Houghton, 2005),Weibull法(Bonadonna and Costa, 2012)により,降下テフラの噴出量を推定することができるオンライン降下テフラ噴出量解析システムを構築した.(1) GISデータ(Shapefile)をシステムにアップロードし,(2) 等層厚線毎の面積を求め, (3)各手法により全体の体積を算出できる.給源近傍や遠方の外挿データの追加機能,直線近似する区間を選択する機能,自動的に最適な区間を探し出す機能,ユーザー登録の上GISデータをアップロードする機能などがある.
火山ハザード情報システムやGIS化されたデジタルデータ,降下テフラのオンライン噴出量解析システムは,火山研究者だけではなく,内閣府,気象庁,火山防災協議会や自治体等での噴火影響範囲,噴火推移予測,避難計画の策定,火山防災マップの改訂,大学やジオパーク等における教育目的など多方面に活用して頂ければ幸いである.
火山ハザード情報システム
火山噴火においては,噴火開始後,噴火地点,噴火様式,噴火規模,噴出物の影響範囲等が変動することが多い.そのため,条件を変えながら検討ができるリアルタイムハザード評価システムが必要とされている.また,降下テフラ,火砕流,岩屑なだれの噴出物分布のデジタルデータ(GISデータ)の整備も,ハザード・リスク評価においては重要である.さらに,ハザード評価のためには,噴出物の噴出量を迅速に解析できるシステムが必要とされている.そこで,火山ハザード情報システムプロジェクトでは,(1) オンラインシミュレーション機能によるリアルタイムハザード評価,(2) 主要火山における噴火パラメータ解析,(3) 降下テフラ,火砕流,岩屑なだれ等の火山噴出物分布データのデジタル化,(4) 降下テフラオンライン噴出量解析機能,(5) 火口分布図の表示検索機能,(6) 火山関連データベースとの連携機能を目指し開発を進めている.
オンラインシミュレーションとパラメータ解析
火山ハザード情報システム(図)では,ASTER GDEMと国土地理院10 mメッシュDEMにより,全世界の約3,300の第四紀火山について,Energy Cone, Titan2D, Tephra2モデルによるオンラインシミュレーションが可能となっている.シミュレーション結果をAPIにより他のサーバーやWebアプリケーションで利用できる機能が追加されており,より迅速に噴出物シミュレーションの表示比較,準リアルタイムハザード評価が可能となっている.また,主要火山の噴火パラメータの解析事例をリスト化して示す事で,過去の噴火や他の火山の噴火との比較検討に加えて,噴火開始後もより迅速に適切なパラメータを設定し,影響評価や今後の推移予測等に役立てることが可能である. 2024年2月時点で,国内外の火山について,Energy Coneモデル138ケース,Tephra2モデル62ケース,Titan2Dモデル50ケース,合計250ケ―スの解析結果の噴火パラメータを示している.これらのシミュレーション結果については,WMS (Web Mapping Service)によるAPIを使って,他のサーバー上やQGIS等のGISソフト,Google Map上等での表示が可能である.
火山噴出物分布のデジタル化
降下テフラ,火砕流堆積物,岩屑なだれ堆積物等の火山噴出物分布のGISデータの整備公開は,火山噴火によるハザード・リスク評価を行うために必要不可欠である.そのため,国内の主要な噴火の噴出物の分布について,順次デジタル化(GIS化)を進めている.2024年2月時点で,羅臼,摩周,屈斜路,十勝,有珠,洞爺,樽前,羊蹄,濁川,北海道駒ヶ岳,八甲田,十和田,浅間,富士,霧島,桜島,姶良,阿多,口永良部島,カルブコ,ケルート火山等において,150噴火以上の降下テフラの等層厚線図のデジタル化を行っている.今後,さらに火山噴出物のデジタル化,閲覧検索システムへのデータ登録を進めると共に,ShapefileやKMLファイルのダウンロード,APIによるデータ配信を進める予定である.
降下テフラのオンライン噴出量解析
区間積分法(宝田ほか,2001; Takarada et al., 2016),Exponential法 (Pyle, 1989),Power Law 法(Bonadonna and Houghton, 2005),Weibull法(Bonadonna and Costa, 2012)により,降下テフラの噴出量を推定することができるオンライン降下テフラ噴出量解析システムを構築した.(1) GISデータ(Shapefile)をシステムにアップロードし,(2) 等層厚線毎の面積を求め, (3)各手法により全体の体積を算出できる.給源近傍や遠方の外挿データの追加機能,直線近似する区間を選択する機能,自動的に最適な区間を探し出す機能,ユーザー登録の上GISデータをアップロードする機能などがある.
火山ハザード情報システムやGIS化されたデジタルデータ,降下テフラのオンライン噴出量解析システムは,火山研究者だけではなく,内閣府,気象庁,火山防災協議会や自治体等での噴火影響範囲,噴火推移予測,避難計画の策定,火山防災マップの改訂,大学やジオパーク等における教育目的など多方面に活用して頂ければ幸いである.