17:15 〜 18:45
[SVC28-P01] 応力変化に伴う一枚亀裂試料の水理的・電気的・弾性的性質の同時測定

キーワード:亀裂試料、浸透率、電気比抵抗、開口幅、3Dプリンタ
地下の流体流動は地熱活動における熱輸送と物質輸送で重要な役割を担っている。そのため、流体流動に直接影響を与える浸透率の理解は必要不可欠である。浸透率は応力や亀裂面の粗さに依存することが先行研究により報告されている。しかし、原位置では地下の亀裂面の粗さを測定することは非常に困難である。そこで本研究は、物理探査によって得られる電気的・弾性的性質を通して亀裂面の粗さを評価するためのモデルを構築することを目的とした。これまでの数値解析による研究により、亀裂面の粗さは電気比抵抗の変化を支配していることが報告されている。しかし、応力変化による亀裂面の変形は正確にモデル化されていない。さらに、粗さを持つ亀裂の応力変化に伴う水理的・電気的・弾性的性質の同時変化は数値的・実験的研究の両方において詳細に理解されていない。これらの点を踏まえ、本研究は粗さを考慮した亀裂を持つサンプルを実際に一軸圧縮試験で変形させながら、これらの性質の同時測定を行った。
実験には、庵治花崗岩試料と花崗岩の亀裂面の粗さに関する情報をもとに作成した3Dプリンタ試料(アクリル樹脂)を用いた。今回はRMSH(0.2mm, 0.5mm)をもとに粗さが異なるサンプルを準備した。なお、RMSHとは表面の高さの二乗平均平方根である。また、各試料の大きさはすべて同じである(60mm×30mm×30mm)。本研究では一軸圧縮試験により約50MPaまで載荷を行い、垂直応力と軸変位をそれぞれロードセルと外部変位計を用いて評価した。載荷中、亀裂試料にはシリンジポンプを用いてKCl水溶液(0.1mol/L)を送り込んだ。そして各応力において、変形中の流体圧差や亀裂を通過したKCl水溶液の流量をシリンジポンプと電子天秤で測定し、それらの値から浸透率の変化を評価した。また、変形中のインピーダンスと位相をLCR測定器で測定し、これらの値から電気比抵抗を計算した。
実験の結果、電気比抵抗は応力の増加に伴って大きくなり、粗さが大きいほど小さくなることが分かった。加えて、花崗岩の電気比抵抗は3Dプリンタ試料に比べて小さいことが分かった。この不一致は、絶縁体である3Dプリンタに比べて花崗岩は電気をより流しやすいという物質の違いが要因であると考えられる。一方、浸透率は応力の増加に伴って低くなり、粗さが大きいほど高いことが分かった。これらの結果から、浸透率と電気比抵抗の両対数プロットにおける傾きを計算した。その結果、得られた傾きは1.5≦a≦2.2の範囲をとり、先行研究により報告された値と整合的で、かつ平行平板モデルによる予測よりも小さいことが分かった。この結果は、比較的高い電気比抵抗でも透水性が高い場合がある可能性を示唆している。本研究により推定された浸透率・電気比抵抗・弾性的性質と亀裂の粗さとの関係性は地下の透水性の推定に貢献できることが期待される。
実験には、庵治花崗岩試料と花崗岩の亀裂面の粗さに関する情報をもとに作成した3Dプリンタ試料(アクリル樹脂)を用いた。今回はRMSH(0.2mm, 0.5mm)をもとに粗さが異なるサンプルを準備した。なお、RMSHとは表面の高さの二乗平均平方根である。また、各試料の大きさはすべて同じである(60mm×30mm×30mm)。本研究では一軸圧縮試験により約50MPaまで載荷を行い、垂直応力と軸変位をそれぞれロードセルと外部変位計を用いて評価した。載荷中、亀裂試料にはシリンジポンプを用いてKCl水溶液(0.1mol/L)を送り込んだ。そして各応力において、変形中の流体圧差や亀裂を通過したKCl水溶液の流量をシリンジポンプと電子天秤で測定し、それらの値から浸透率の変化を評価した。また、変形中のインピーダンスと位相をLCR測定器で測定し、これらの値から電気比抵抗を計算した。
実験の結果、電気比抵抗は応力の増加に伴って大きくなり、粗さが大きいほど小さくなることが分かった。加えて、花崗岩の電気比抵抗は3Dプリンタ試料に比べて小さいことが分かった。この不一致は、絶縁体である3Dプリンタに比べて花崗岩は電気をより流しやすいという物質の違いが要因であると考えられる。一方、浸透率は応力の増加に伴って低くなり、粗さが大きいほど高いことが分かった。これらの結果から、浸透率と電気比抵抗の両対数プロットにおける傾きを計算した。その結果、得られた傾きは1.5≦a≦2.2の範囲をとり、先行研究により報告された値と整合的で、かつ平行平板モデルによる予測よりも小さいことが分かった。この結果は、比較的高い電気比抵抗でも透水性が高い場合がある可能性を示唆している。本研究により推定された浸透率・電気比抵抗・弾性的性質と亀裂の粗さとの関係性は地下の透水性の推定に貢献できることが期待される。