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[SVC30-03] 東北日本弧鳥海火山, 東鳥海馬蹄形カルデラにおける溶岩の層序
鳥海火山は東北本州弧背弧側に位置する成層火山であり,約2500年前の山体崩壊により東鳥海馬蹄形カルデラを形成した.この東鳥海馬蹄形カルデラ内では,山体崩壊後に繰り返し流下した溶岩の地形が良好に保存されている.約2800年前以降,鳥海山はテフラに比べて溶岩の噴出量が圧倒的に多い(大場ほか,2024).また,約2500年前以降,比較的大規模な爆発的噴火が少なくとも5回発生し,その多くがラハールを伴った(Ohba et al., 2022).しかし,東鳥海カルデラ内を埋積する溶岩流と爆発的噴火やラハールの時代関係,すなわち層序は明らかにされていない.本研究では,歴史時代溶岩を除く溶岩について地形解析,地質調査,岩石学的対比を行い,約2500年前以降から歴史時代噴火より前の溶岩の層序を検討した.
地形的に31の溶岩ローブ(溶岩ローブA-AE)を認識し,被覆関係から層序を決定した.溶岩を構成する岩石は,斑晶鉱物として斜長石,直方輝石,単斜輝石,カンラン石,不透明鉱物の斑晶を含み,一部試料に普通角閃石を含む.カンラン石斑晶を欠くものもある.溶岩を構成する岩石は4つの鉱物組み合わせタイプ(①:斜長石+直方輝石+単斜輝石+カンラン石 ②:斜長石+直方輝石+単斜輝石+カンラン石+普通角閃石 ③:斜長石+直方輝石+単斜輝石+普通角閃石 ④:斜長石+直方輝石+単斜輝石)に分類される.
全岩化学組成分析の結果,全岩SiO2量は56–62 wt%で,ほとんどの試料が安山岩に,一部の試料は玄武岩質安山岩に分類された.SiO2-K2O図上ではMedium-K系列にプロットされた.また,SiO2-FeOt/MgO図上ではカルクアルカリ系列であった.
以上の溶岩の層序・鉱物組み合わせ・全岩化学組成データから,溶岩ローブの対比および識別を行い,東鳥海馬蹄形カルデラ内溶岩を11ユニットに分類した.
引用文献
Ohba T., Hayashi S., Ban M., Imura T., Minami Y. and Endo M. (2022): Late Holocene tephrostratigraphy at Chokai volcano, northern Japan, and contribution to hazard assessment. Journal of Disaster Research,17(5), 724-735
大場 司・林 信太郎・伴 雅雄・井村 匠・池田 柾道・平田 碧・菊池 瑛美 (2024): 鳥海火山のマグマ噴出量階 段図-主に過去2800年前以降の噴出量変化 . 防災科学技術研究所研究資料 第 500 号
地形的に31の溶岩ローブ(溶岩ローブA-AE)を認識し,被覆関係から層序を決定した.溶岩を構成する岩石は,斑晶鉱物として斜長石,直方輝石,単斜輝石,カンラン石,不透明鉱物の斑晶を含み,一部試料に普通角閃石を含む.カンラン石斑晶を欠くものもある.溶岩を構成する岩石は4つの鉱物組み合わせタイプ(①:斜長石+直方輝石+単斜輝石+カンラン石 ②:斜長石+直方輝石+単斜輝石+カンラン石+普通角閃石 ③:斜長石+直方輝石+単斜輝石+普通角閃石 ④:斜長石+直方輝石+単斜輝石)に分類される.
全岩化学組成分析の結果,全岩SiO2量は56–62 wt%で,ほとんどの試料が安山岩に,一部の試料は玄武岩質安山岩に分類された.SiO2-K2O図上ではMedium-K系列にプロットされた.また,SiO2-FeOt/MgO図上ではカルクアルカリ系列であった.
以上の溶岩の層序・鉱物組み合わせ・全岩化学組成データから,溶岩ローブの対比および識別を行い,東鳥海馬蹄形カルデラ内溶岩を11ユニットに分類した.
引用文献
Ohba T., Hayashi S., Ban M., Imura T., Minami Y. and Endo M. (2022): Late Holocene tephrostratigraphy at Chokai volcano, northern Japan, and contribution to hazard assessment. Journal of Disaster Research,17(5), 724-735
大場 司・林 信太郎・伴 雅雄・井村 匠・池田 柾道・平田 碧・菊池 瑛美 (2024): 鳥海火山のマグマ噴出量階 段図-主に過去2800年前以降の噴出量変化 . 防災科学技術研究所研究資料 第 500 号