日本地球惑星科学連合2024年大会

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[U-10] 日本学術会議とJpGU

2024年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、三枝 信子(国立環境研究所)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)

14:45 〜 15:00

[U10-05] 日本学術会議地球惑星科学委員会と日本地球惑星科学連合の連携

*田近 英一1 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

キーワード:日本学術会議、地球惑星科学委員会、日本地球惑星科学連合、大型研究計画、ロードマップ

日本学術会議地球惑星科学委員会と日本地球惑星科学連合は,我が国の地球惑星科学コミュニティにとっての「車の両輪」として重要な役割を担っており,これまで緊密な連携を保ってきた.

地球惑星科学は出自の異なる多種多様な分野から構成される総合科学であるが,現在の姿に至る過程で最大の変革が2005年にあった.それが日本学術会議改革と日本地球惑星科学連合の設立である.

日本学術会議改革では,それまで200以上あった研究連絡会,いわゆる研連を廃止して,30の分野別委員会に統合した.このとき,それまで十以上の研連に分かれていた地球惑星科学分野も,地球惑星科学委員会に一本化された.これ以降,地球惑星科学関係の会員・連携会員は,地球惑星科学委員会及びその下に設置された地球惑星圏,地球人間圏,人材育成,社会貢献,国際連携などの分科会や小委員会で,個々の分野を超えて活動する形態になった.

一方,学術会議改革に合わせて,地球惑星科学委員会に対応できるよう,学協会側も窓口を一本化することが要請された.関連学協会間で議論を重ねた後,1990年から毎年継続的に開催されてきた地球惑星科学関連学会合同大会の実績に基づき,地球惑星科学全分野をカバーする,個人会員制度の独立した学会である,日本地球惑星科学連合(JpGU)が設立された.現在のJpGUが発足した第一の理由は,日本学術会議地球惑星科学委員会の対応窓口となるためであった.それ以降,米国地球物理学連合(AGU)や欧州地球科学連合(EGU)とMOUを結ぶなど国際化・国際連携を強力に推進し,会員数1万人超・団体会員数約50学協会という規模の,我が国を代表する学会のひとつにまで成長した.

それ以降,毎年のJpGU大会において「地球惑星科学の進むべき道」シリーズを含むユニオンセッションを地球惑星科学委員会とJpGUの共催として毎年開催してきたほか,ニュースレター誌JGLにおける「学術会議だより」やウェブページ,メールニュース等などを活用した地球惑星科学委員会の組織体制や活動の情報共有,JpGU会長やセクションプレジデント及び地球惑星科学委員会の会員が委員となるJpGUユニオンサイエンスボード会議や約50学協会長が集まる学協会長会議における情報共有など,さまざまに連携してきた.

そのなかでも,日本学術会議の「大型研究計画(マスタープラン/学術の中長期研究戦略)」や地球惑星科学分野の中長期計画である「地球惑星科学分野における科学・夢ロードマップ」の策定は,JpGUとの連携のもと,コミュニティに開かれた形で両者の協力によって実施されてきた.地球惑星科学分野関連の十数件程度の大型研究計画のヒアリングを通じた計画の共有とブラッシュアップ,大型研究計画を含む中長期的なロードマップの策定と研究者間での共有は,これまできわめて有効に機能してきたものと考えられ,地球惑星科学コミュニティの学術活動に対する重要な貢献となっている.

日本学術会議地球惑星科学委員会とJpGUは,我が国の地球惑星科学コミュニティにとって文字通り車の両輪の役割を果たしてきたが,これから両者の緊密な連携はますます重要になると考える.これまでの連携だけにとどまらず,学協会の役割と学術会議の役割を明確化し,両者の協同による相乗効果が期待できるような重要課題を積極的に見いだして検討・対応していくことが,21世紀における地球惑星科学のさらなる発展のために必要不可欠といえるであろう.