17:15 〜 18:45
[U15-P112] 令和6年能登半島地震の新潟県糸魚川市内における被害状況
キーワード:令和6年能登半島地震、津波、液状化、糸魚川
令和6年能登半島地震の震源から南東約80kmに位置する新潟県糸魚川市では、地震に伴い局所的かつ複合的な被害に見舞われた。これら被害の地域性は、地域ごとの地質・地形的特性に起因していることが予想される。
<津波>
上越市直江津港沖合では、1月1日の16時31分に156cmの平均水面高を記録し(国土交通省港湾局)、上越市関川の河口から約400m地点に設置された定点カメラでは、同日16時35分ごろに津波が川を遡上する様子が撮影されている(国土交通省北陸地方整備局)。糸魚川市沿岸では、津波によると思われる堆積構造や漂着物が確認され、糸魚川市東部の藤崎海岸には珠洲市の漁船が漂着した。漂着物の堆積前線から見積もられる上越地域の津波の最大遡上高は、2-5 m程度である。大局的に遠浅である直江津海岸で最大遡上高が大きくなる傾向が認められる。
<液状化>
糸魚川駅周辺では、液状化に伴う噴砂や不等沈下が見られた。液状化による被害が顕著だったのは、糸魚川駅南口周辺の約4,000㎡の範囲である。範囲内では、噴砂や不等沈下の他、住宅の水平移動等も確認され、数ヶ月単位で開口割れ目や不等沈下が顕在化する様子も観察される。被害範囲を含む糸魚川駅周辺は、海岸沿いに発達する砂丘の後背低地にあたり地下水位も高い。後背低地の砂質地盤と高い地下水位により、液状化被害を誘発したと考えられる。
<造成団地の擁壁被害>
糸魚川駅から南東約1.5km に位置する京ヶ峰団地では、擁壁の崩壊等の被害が集中した。京ヶ峰団地は、1965(昭和40)年に造成された約200 戸の住宅団地であり、擁壁は天然の河川礫を使用した空積み構造となっている。団地内で甚大な被害があった擁壁は、団地中央部に集中しており、団地造成前の航空写真と比較すると、切り土範囲と盛り土範囲の境界部に被害が集中している。そのため、集中した擁壁被害の要因として、地形改変(切り土・盛り土)や擁壁構造(空積み、河川礫の裏込材)などが考えられる。
能登半島地震における糸魚川市内の被害は、局所的かつ複合的な特徴を有する。これは、地震に伴う被害が地質・地形的特性を反映していることを示している。本発表では、地震直後から継続している被害状況調査の結果を報告し、地質・地形的特性との関係について議論する。
<津波>
上越市直江津港沖合では、1月1日の16時31分に156cmの平均水面高を記録し(国土交通省港湾局)、上越市関川の河口から約400m地点に設置された定点カメラでは、同日16時35分ごろに津波が川を遡上する様子が撮影されている(国土交通省北陸地方整備局)。糸魚川市沿岸では、津波によると思われる堆積構造や漂着物が確認され、糸魚川市東部の藤崎海岸には珠洲市の漁船が漂着した。漂着物の堆積前線から見積もられる上越地域の津波の最大遡上高は、2-5 m程度である。大局的に遠浅である直江津海岸で最大遡上高が大きくなる傾向が認められる。
<液状化>
糸魚川駅周辺では、液状化に伴う噴砂や不等沈下が見られた。液状化による被害が顕著だったのは、糸魚川駅南口周辺の約4,000㎡の範囲である。範囲内では、噴砂や不等沈下の他、住宅の水平移動等も確認され、数ヶ月単位で開口割れ目や不等沈下が顕在化する様子も観察される。被害範囲を含む糸魚川駅周辺は、海岸沿いに発達する砂丘の後背低地にあたり地下水位も高い。後背低地の砂質地盤と高い地下水位により、液状化被害を誘発したと考えられる。
<造成団地の擁壁被害>
糸魚川駅から南東約1.5km に位置する京ヶ峰団地では、擁壁の崩壊等の被害が集中した。京ヶ峰団地は、1965(昭和40)年に造成された約200 戸の住宅団地であり、擁壁は天然の河川礫を使用した空積み構造となっている。団地内で甚大な被害があった擁壁は、団地中央部に集中しており、団地造成前の航空写真と比較すると、切り土範囲と盛り土範囲の境界部に被害が集中している。そのため、集中した擁壁被害の要因として、地形改変(切り土・盛り土)や擁壁構造(空積み、河川礫の裏込材)などが考えられる。
能登半島地震における糸魚川市内の被害は、局所的かつ複合的な特徴を有する。これは、地震に伴う被害が地質・地形的特性を反映していることを示している。本発表では、地震直後から継続している被害状況調査の結果を報告し、地質・地形的特性との関係について議論する。