17:15 〜 18:45
[U15-P71] 輪島市舳倉島における令和6年能登半島地震津波による浸水域調査
キーワード:舳倉島、現地調査、浸水域、漂着物
2024年元日に能登半島北岸の断層を震源とする地震が発生し,その後の津波の影響も重なり,石川県及び隣県に甚大な被害を及ぼした.この地震では余震域は約150kmという広範な領域となり,地震や津波のソースとなった断層についてはいまだ明確となってはいない.また,発災翌日以降から土木学会海岸工学委員会をはじめとする各機関により,被災地域での調査が実施され,津波の痕跡高や浸水範囲,被害状況が明らかになりつつある.しかし,これらの情報は能登半島の沿岸域を中心としたものであり,津波伝播経路上にある離島での情報は少ない.一方で,新聞報道等によれば舳倉島には当時3名の住民の方がおられ,地震後に津波が来襲し,沿岸低地にある漁港や公園等の施設において被害が発生したとされている.ここで,能登半島北岸の断層を波源とする津波は北西方向に伝播し,舳倉島や七ツ島を通過した後,海底地形の影響を受けて能登半島の西方海域に伝播することから,舳倉島における浸水範囲や津波痕跡情報は今回の津波波源の推定において有益な情報となりうる.今般,筆者らは舳倉島の電力施設の復旧活動に同行する機会があり,津波痕跡調査を合わせて実施したため報告する.
舳倉島は能登半島北岸より約50㎞北方にある南北約1㎞,東西約2㎞の島であり,最大標高は北西部で約15mの1000~1700万年前の火山活動で形成された島である.また,東側の標高1~3m程度に港湾施設を有し,概ね標高3m以上に居住地があり,西側から北側にかけて岩礁帯が発達している.調査にあたっては,まず,現地踏査により津波漂着物の分布状況(主に遡上端)を確認した.この時,GPSにより位置情報が取得可能なハンディナビゲーションやカメラ等を用いて,漂着物の位置情報を取得した.続いて,それらの情報をGIS上で国土地理院の5mDEM上にプロットすることで浸水範囲を確認するとともに,対応する標高値について簡易推定を行った.その結果,島内において北側で高標高まで漂着物が分布し,南西側や北東側では防波堤等の港湾施設の外側から津波が流入したことによる影響と考えられる浸水範囲が認められた.今回得られた概略推定値(ハンディGPSやDEMの精度から,数十㎝程度までの誤差が含まれうると考えられる)によると,島内で最大となる漂着物の分布標高は北側の沿岸域で約8.3mであり,南西側では最大約6.4m,北東側では約5mまで漂着物の分布が認められた.
舳倉島は能登半島北岸より約50㎞北方にある南北約1㎞,東西約2㎞の島であり,最大標高は北西部で約15mの1000~1700万年前の火山活動で形成された島である.また,東側の標高1~3m程度に港湾施設を有し,概ね標高3m以上に居住地があり,西側から北側にかけて岩礁帯が発達している.調査にあたっては,まず,現地踏査により津波漂着物の分布状況(主に遡上端)を確認した.この時,GPSにより位置情報が取得可能なハンディナビゲーションやカメラ等を用いて,漂着物の位置情報を取得した.続いて,それらの情報をGIS上で国土地理院の5mDEM上にプロットすることで浸水範囲を確認するとともに,対応する標高値について簡易推定を行った.その結果,島内において北側で高標高まで漂着物が分布し,南西側や北東側では防波堤等の港湾施設の外側から津波が流入したことによる影響と考えられる浸水範囲が認められた.今回得られた概略推定値(ハンディGPSやDEMの精度から,数十㎝程度までの誤差が含まれうると考えられる)によると,島内で最大となる漂着物の分布標高は北側の沿岸域で約8.3mであり,南西側では最大約6.4m,北東側では約5mまで漂着物の分布が認められた.