[AAS11-P11] 2015年初冬に北海道陸別で観測されたCOカラム平均混合比(XCO)の急増イベントの原因解析
キーワード:近赤外域太陽吸収スペクトル、対流圏一酸化炭素、流跡線解析
国立環境研究所では2014年から北海道陸別町(43.46°N, 143.77°E, 380 m a.s.l)に設置した高分解能FTIR(Bruker IFS120/5HR)を用いて、全量炭素カラム観測ネットワーク(Total Carbon Column Observing Network、TCCON)として近赤外域での太陽光吸収スペクトル観測を行い、大気中微量成分(CO2、CH4、COなど)のカラム平均混合比を求めている。これまでの観測から各微量成分の様々な時間変動が得られているが、我々はデータの中でCOカラム平均混合比(XCO)が短期間に増減するイベントに着目した。特に、2015年初冬にはXCOが11月13日に増加し始め、30日に季節平均値の約4.5倍となり、12月9日に季節平均値に戻るという増加・減少が見られた。このときCO2(XCO2)やCH4(XCH4)にも同じような変動が見られることから、燃焼起源の気塊の流入の影響が推測された。
そこで我々は、この変動が見られる期間について流跡線解析を行った。解析にはFLEXPART(Stohl et al. 2005)を用い、気象場データにNCEP CFSv2-6時間解析データを使用した。それぞれの日において1km、5km、7kmの高度で2週間の後方流跡線計算を行うと、中国東北部からの影響と遠方からの影響が示唆される結果が得られた。そこでこれら結果をもとに、MODISによるhotspotデータから後方流跡線から推定されるCOの放出場所と日時の範囲のものをすべて取り出し、領域ごとにそれからの前方流跡線計算を行った。計算の結果、中国東北部起源のCOの流入がその他遠方の影響の約10倍大きいことがわかり、観測されたXCOの急増は中国東北部の燃焼起源の気塊流入によることが確認できた。
発表では、流跡線解析の詳細とともに観測期間中に見られる他の急増イベント例との比較、他の微量成分変動との関連について議論する。
そこで我々は、この変動が見られる期間について流跡線解析を行った。解析にはFLEXPART(Stohl et al. 2005)を用い、気象場データにNCEP CFSv2-6時間解析データを使用した。それぞれの日において1km、5km、7kmの高度で2週間の後方流跡線計算を行うと、中国東北部からの影響と遠方からの影響が示唆される結果が得られた。そこでこれら結果をもとに、MODISによるhotspotデータから後方流跡線から推定されるCOの放出場所と日時の範囲のものをすべて取り出し、領域ごとにそれからの前方流跡線計算を行った。計算の結果、中国東北部起源のCOの流入がその他遠方の影響の約10倍大きいことがわかり、観測されたXCOの急増は中国東北部の燃焼起源の気塊流入によることが確認できた。
発表では、流跡線解析の詳細とともに観測期間中に見られる他の急増イベント例との比較、他の微量成分変動との関連について議論する。