10:15 〜 10:30
[ACG52-06] 春季親潮・沿岸親潮水の光学的性質と海色クロロフィルa濃度推定への影響
キーワード:光学的性質、海色リモートセンシング、親潮
釧路沖の親潮域・沿岸親潮域では、春季に大規模な植物プランクトンブルームが発生し、海色衛星によっても高いクロロフィルa (chl.a)濃度が観測される。この海域の海色chl.a濃度は、実測値の+/-35%の範囲に収まるという報告がある一方、春季には十勝川河川水が河口域に光学的性質に影響を与えると示唆されている。しかしながら、この海域における春季の光学的性質の詳細は良くわかっていない。そこで本研究では、2015年3月に白鳳丸により、リモートセンシング反射率(Rrs)、吸収係数、後方散乱係数(bbp)およびchl.a濃度を測定し、光学的性質と海色chl.a濃度推定への影響について調べた。
3月10日から13日の低気圧通過に伴い、沿岸付近は数日間懸濁し、植物プランクトン以外の吸収係数(ad)は粒子の吸収係数(ap)の60%以上を占め、bbpも他の観測点の2–7倍高かった。また一部の観測点では有色溶存有機物質(CDOM)の吸収係数(aCDOM)もやや高かった。それらの影響により、低気圧通過後の沿岸付近ではRrsが極めて高く、海色Chl.aアルゴリズムを適用した場合、2–3倍chl.aを過大評価した。しかしながら、3月20日にはadの比率とbbpは減少し、海色chl.aアルゴリズムによる推定値と良く適合した。
443 nmにおける植物プランクトンの吸収係数(aph(443))およびbbp(555)は、それぞれchl.a濃度およびad(443)と直線関係にあった。これらの関係を海色データに適用したところ、海色chl.a画像に見られた沖合のやや高いchl.a濃度は、adおよびaCDOMの影響を受けており、懸濁物やCDOMが沖合まで輸送されていることが示唆された。
以上より、本海域における光学的性質の時空間変化は沖合でも大きく複雑であるため、標準の海色chl.a濃度よりもaphなどの海水固有の光学的性質を利用したchl.a濃度推定が望ましいと考えられる。
3月10日から13日の低気圧通過に伴い、沿岸付近は数日間懸濁し、植物プランクトン以外の吸収係数(ad)は粒子の吸収係数(ap)の60%以上を占め、bbpも他の観測点の2–7倍高かった。また一部の観測点では有色溶存有機物質(CDOM)の吸収係数(aCDOM)もやや高かった。それらの影響により、低気圧通過後の沿岸付近ではRrsが極めて高く、海色Chl.aアルゴリズムを適用した場合、2–3倍chl.aを過大評価した。しかしながら、3月20日にはadの比率とbbpは減少し、海色chl.aアルゴリズムによる推定値と良く適合した。
443 nmにおける植物プランクトンの吸収係数(aph(443))およびbbp(555)は、それぞれchl.a濃度およびad(443)と直線関係にあった。これらの関係を海色データに適用したところ、海色chl.a画像に見られた沖合のやや高いchl.a濃度は、adおよびaCDOMの影響を受けており、懸濁物やCDOMが沖合まで輸送されていることが示唆された。
以上より、本海域における光学的性質の時空間変化は沖合でも大きく複雑であるため、標準の海色chl.a濃度よりもaphなどの海水固有の光学的性質を利用したchl.a濃度推定が望ましいと考えられる。