[AOS29-P04] Bering Slope Currentとそれに伴う高気圧性渦の季節変動について
キーワード:Bering Slope Current、渦、季節変動
Bering Slope Current(BSC)はベーリング海の大陸棚と海盆をつなぐ大陸斜面上を流れる海流である。BSCに沿って渦活動が活発であり、それが栄養物質の輸送に寄与することで、グリーンベルトと呼ばれる高生物生産海域を形成している。本研究では、海洋数値モデルの出力を用いて、BSCとそれに伴う高気圧性渦の季節変動について考察する。BSCの流速は、冬に大きく夏に小さい。この季節変動は、冬季(夏季)、アラスカンストリームに生じた等密度面の深化(浅化)が、アリューシャン列島の海峡を通る沿岸捕捉波(内部ケルビン波)として、BSCまで到達することによって生じる。さらに、これにより冬季にBSCの有効位置エネルギーが増加し、春季にかけて傾圧不安定が生じて渦が形成され、夏季まで成長が続くという、季節進行を見出した。これらは、衛星から観測されたBSCと渦の季節変動と整合的である。また、この等密度面の変動はアラスカ湾まで遡ることができ、アリューシャン低気圧の季節変動によりもたらされることが示された。