[AOS30-P03] 七尾湾西湾における貧酸素水塊の発生・解消過程の観測
キーワード:七尾湾、貧酸素水塊、気象要因
七尾湾西湾における貧酸素水塊の発生・解消過程を明らかにするため、2016年6月から10月に調査船による水温、塩分、DOの定点観測および係留による水温、DO、流向・流速の連続観測を実施した。その結果、貧酸素水(溶存酸素濃度2.1 mg/L以下)は6月下旬から10月上旬に確認され、底層では数日スケールで発生と解消を繰り返していることが分かった。また、貧酸素化は数日かけて進行するのに対し、その解消にかかる時間は数時間程度であった。6月24日に貧酸素水が確認された事例では、表層のDOに大きな変化はみられなかったが、底層では3日ほどで約8 mg/Lから約2 mg/Lに漸次減少した。23日に実施した観測では塩分成層の形成は河口周辺のみで確認されており、塩分成層が貧酸素の形成に影響する要因ではないと考えられた。また、貧酸素化が進行した6月22日から24日に底層の流速が小さかったことから、流れが停滞し、かつ高温が持続されたことが貧酸素化の要因と推察された。一方、低気圧が日本海で発達したのに伴い、25日に湾内で強い南西風が卓越した。この風に対応し表層では東向きの流れが発生したのに対し、底層ではより強い西向きの流れが発生した。その流れの強まりと伴に底層のDOは上昇し、ほぼ表層の値まで回復した。また、全層で水温の低下がみられたから、強い南西風によって表層水が風下側に吹送され、その補償流として風上側へ向かう底層流が引き起こされた結果、鉛直混合が促進され底層に酸素が供給されたと推察された。