[BAO01-P12] 好塩性アーキアが生産する脂質コア中の飽和および不飽和アーキオール誘導体の多様性と構造決定の試み
キーワード:archaea, isoprenoidal dither, structure determination, halophilic, halite
アーキアは全て特徴的な脂質コアであるアーキオール(C20イソプレノイドジエーテル)を持っている。さらに好塩性アーキアはC25イソプレノイドを一つ持つC25-C20 ジエーテル(1)を生産する。これはC25イソプレノイドがグリセロールの二級水酸基側(C-2)に結合している[1]。また近年Dawsonらは幾つかの超好塩性アーキアでは,アーキオールとC25-C20 ジエーテルおよびその不飽和体(例えば構造 2 が推定されている)が生産され,高塩分培養条件下で不飽和化合物の割合が増加することを報告した[2]。
昨年度本年会にて 1 と 2 を既報[3]に従い合成し,構造解析から 1 の構造はC25イソプレノイドなグリセロールの二級水酸基側(C-2)に結合していることを確認した。一方構造 2 はそのマスフラグメントが明らかに異なり,二重結合の位置が異なる異性体が真の不飽和ジエーテルであることが示唆された[4]。
このアーキオール誘導体の多様性について,1) 1 の位置異性体に相当するC25イソプレノイドがグリセロールの一級水酸基側(C-3)に結合している 3 を調製したところ,Teixidor の報告した岩塩中のC25-C20 ジエーテル[5]は 1 と 3 に相当する異性体のほぼ等量混合物であった。これは過去に生育していた,または岩塩中でゆっくりと生育するような,C25-C20 ジエーテルの異性体を膜脂質コアとして利用する,未発見のアーキアが存在する可能性を示唆している。2)Dawsonの不飽和ジエーテルの“真の”構造はテトラエーテル脂質の生合成過程に関する研究結果[6]から,イソプレノイドの末端側に二重結合を持った 4 または 5 であると推定した。化合物 4 および 5 の化学的合成と分析結果の報告を予定している。
[1] De Rosa et al., J. Gen. Microbiol., 128, 343 (1982).
[2] Dawson et al. Org. Geochem., 48, 1 (2012).
[3] Yamauchi Res. Org. Geochem., 29, 71 (2013).
[4] 山内 2016年地球惑星連合大会 BA001-P05 (2016).
[5] Texidor et al. Geochim. Cosmochim. Acta. 57, 4479 (1993).
[6] Nemoto et al. Extremophiles, 7, 235 (2003).
昨年度本年会にて 1 と 2 を既報[3]に従い合成し,構造解析から 1 の構造はC25イソプレノイドなグリセロールの二級水酸基側(C-2)に結合していることを確認した。一方構造 2 はそのマスフラグメントが明らかに異なり,二重結合の位置が異なる異性体が真の不飽和ジエーテルであることが示唆された[4]。
このアーキオール誘導体の多様性について,1) 1 の位置異性体に相当するC25イソプレノイドがグリセロールの一級水酸基側(C-3)に結合している 3 を調製したところ,Teixidor の報告した岩塩中のC25-C20 ジエーテル[5]は 1 と 3 に相当する異性体のほぼ等量混合物であった。これは過去に生育していた,または岩塩中でゆっくりと生育するような,C25-C20 ジエーテルの異性体を膜脂質コアとして利用する,未発見のアーキアが存在する可能性を示唆している。2)Dawsonの不飽和ジエーテルの“真の”構造はテトラエーテル脂質の生合成過程に関する研究結果[6]から,イソプレノイドの末端側に二重結合を持った 4 または 5 であると推定した。化合物 4 および 5 の化学的合成と分析結果の報告を予定している。
[1] De Rosa et al., J. Gen. Microbiol., 128, 343 (1982).
[2] Dawson et al. Org. Geochem., 48, 1 (2012).
[3] Yamauchi Res. Org. Geochem., 29, 71 (2013).
[4] 山内 2016年地球惑星連合大会 BA001-P05 (2016).
[5] Texidor et al. Geochim. Cosmochim. Acta. 57, 4479 (1993).
[6] Nemoto et al. Extremophiles, 7, 235 (2003).