[BPT05-P10] ガーナ・ビリミアン帯ケープスリーポイントにおける陸上掘削について;
GHBコアの詳細な岩相と層序
キーワード:Ghana、ビリミアン帯、初期原生代、コア 、層序
初期原生代(2.5-2.1Ga)は,生命による光合成の結果生じた寒冷化,地球表層の酸素濃度が飛躍的に上昇し酸化的な環境へシフトした大酸化事変(GOE), 初期大陸の形成など地球表層環境に大きな変化が生じた時代として知られる(van Kranendonk, 2012).本研究は初期原生代の酸素濃度上昇時期の深海底環境の復元を目指し,ガーナ・ビリミアン帯のグリーンストーン帯中の堆積岩についての陸上掘削コア(GHBコア:2015年掘削)について詳細な岩相記載・層序復元を行った.
ガーナ南西部に位置する西アフリカクラトン西部には太古代の地質体が分布しており,南東部には古原生代の地質体であるビリミアン超層群が分布している.ビリミアン超層群(2.2-2.1Ga)は広く緑色岩体が分布し,層厚が1000mを超える火山砕屑岩を主とする地層が分布する.本地域の海岸線には,連続性のよい深海底堆積物が露出する.GHB掘削によりビリミアン超層群セフィ層群の最上部の地層について試料を取得した. GHBコアはエジル湾岸(Latitude: 4°45’23”N, Longitude: 2°02’15”E)から掘削され,コアの全長は195mであり,深さ30mまでは風化が著しいが,以深では連続コアを取得できた.コアは帯磁率測定とCTによる内部構造の測定を行った後,半割して岩相の記載を行った.これらの試料について薄片を作成し鏡下観察を行った.
GHBコアは変形や褶曲がなく最下部から最上部まで連続した地層からなる.風化の著しい上部30mを除き岩相・層序の特徴により下位から4つのUnitに分けた.Unit 1(Depth:30-60m)はシルト質砂岩,黒色頁岩,緑色火山砕屑岩の薄層を繰り返す. 火山砕屑岩は細粒砂岩サイズの角閃石や斜長石,石英が多く含まれる.地層中には薄く凝灰岩層が挟まれる.Unit 2(Depth:61-120m)は主に塊状緑色火山砕屑岩や,緑色-緑灰色の火山砕屑岩とシルト質砂岩の薄層の繰り返しから成り,貫入岩が厚さ約20mに渡ってこれを貫く.Unit 1と比較して火山砕屑岩の鉱物組成に大きな変化はないが,層厚の観点では,Unit 1で見られたcm〜mmスケールの薄層に加え,十数cm〜数十cmにわたり緑色火山砕屑岩が厚く堆積した地層が何度も出現する特徴がある.Unit 3(Depth:120-174m)はシルト質砂岩,頁岩の薄層の間にしばしば黒色頁岩層を挟む.炭質部は鏡下スケールでも観察でき,緑色-緑灰色火山砕屑岩のシルトサイズの粒子がなすmmスケールのラミネーションの合間にも挟在する.Unit 4(Depth:175-195m)は緑色火山砕屑岩と頁岩,黒色頁岩層から構成され,非常に細かい粒子から成るcm〜mmスケール,あるいは1mm以下の厚さの薄層を繰り返す.黒色頁岩は不透明黒色物層を多く含み、その中には反射顕微鏡薄片観察により不透明鉱物(黄鉄鉱)が観察された.黄鉄鉱と炭質部の分布は不均一である.黄鉄鉱は部分的に炭質な縞に濃集して観察され,それらの縞の上下の緑色火山砕屑岩中からは観察されない.
以上,GHBコアは風化の著しい上部30mを除き下部から上部まで約165mの連続的な地層が観察される.コアは全般に珪質な緑色火山砕屑岩から構成され,鏡下観察でカーボネートがみられ,mmスケール以下のラミネーションまで非常に良く保存されている.Unit1からUnit2では緑色火山砕屑岩が主構成物であり,塊状緑色火山砕屑岩層が繰り返すことから,近隣の火山からの火山性砕屑物の供給が増加したと考えられる.Unit3からUnit4では頁岩やシルト質砂岩の頻度が増加し,上方へ向けて構成粒子が細粒化する.
ガーナ南西部に位置する西アフリカクラトン西部には太古代の地質体が分布しており,南東部には古原生代の地質体であるビリミアン超層群が分布している.ビリミアン超層群(2.2-2.1Ga)は広く緑色岩体が分布し,層厚が1000mを超える火山砕屑岩を主とする地層が分布する.本地域の海岸線には,連続性のよい深海底堆積物が露出する.GHB掘削によりビリミアン超層群セフィ層群の最上部の地層について試料を取得した. GHBコアはエジル湾岸(Latitude: 4°45’23”N, Longitude: 2°02’15”E)から掘削され,コアの全長は195mであり,深さ30mまでは風化が著しいが,以深では連続コアを取得できた.コアは帯磁率測定とCTによる内部構造の測定を行った後,半割して岩相の記載を行った.これらの試料について薄片を作成し鏡下観察を行った.
GHBコアは変形や褶曲がなく最下部から最上部まで連続した地層からなる.風化の著しい上部30mを除き岩相・層序の特徴により下位から4つのUnitに分けた.Unit 1(Depth:30-60m)はシルト質砂岩,黒色頁岩,緑色火山砕屑岩の薄層を繰り返す. 火山砕屑岩は細粒砂岩サイズの角閃石や斜長石,石英が多く含まれる.地層中には薄く凝灰岩層が挟まれる.Unit 2(Depth:61-120m)は主に塊状緑色火山砕屑岩や,緑色-緑灰色の火山砕屑岩とシルト質砂岩の薄層の繰り返しから成り,貫入岩が厚さ約20mに渡ってこれを貫く.Unit 1と比較して火山砕屑岩の鉱物組成に大きな変化はないが,層厚の観点では,Unit 1で見られたcm〜mmスケールの薄層に加え,十数cm〜数十cmにわたり緑色火山砕屑岩が厚く堆積した地層が何度も出現する特徴がある.Unit 3(Depth:120-174m)はシルト質砂岩,頁岩の薄層の間にしばしば黒色頁岩層を挟む.炭質部は鏡下スケールでも観察でき,緑色-緑灰色火山砕屑岩のシルトサイズの粒子がなすmmスケールのラミネーションの合間にも挟在する.Unit 4(Depth:175-195m)は緑色火山砕屑岩と頁岩,黒色頁岩層から構成され,非常に細かい粒子から成るcm〜mmスケール,あるいは1mm以下の厚さの薄層を繰り返す.黒色頁岩は不透明黒色物層を多く含み、その中には反射顕微鏡薄片観察により不透明鉱物(黄鉄鉱)が観察された.黄鉄鉱と炭質部の分布は不均一である.黄鉄鉱は部分的に炭質な縞に濃集して観察され,それらの縞の上下の緑色火山砕屑岩中からは観察されない.
以上,GHBコアは風化の著しい上部30mを除き下部から上部まで約165mの連続的な地層が観察される.コアは全般に珪質な緑色火山砕屑岩から構成され,鏡下観察でカーボネートがみられ,mmスケール以下のラミネーションまで非常に良く保存されている.Unit1からUnit2では緑色火山砕屑岩が主構成物であり,塊状緑色火山砕屑岩層が繰り返すことから,近隣の火山からの火山性砕屑物の供給が増加したと考えられる.Unit3からUnit4では頁岩やシルト質砂岩の頻度が増加し,上方へ向けて構成粒子が細粒化する.