[G02-P08] 開発途上国における地すべりハザードマップの作成を通した防災教育― ホンジュラス国首都テグシガルパ市の事例 ―
キーワード:開発途上国、防災教育、地すべり
中米ホンジュラス国の首都,テグシガルパ市は盆地に位置し,周辺斜面には地すべり地形が多く発達する.1998年に発生したハリケーン・ミッチの豪雨により大規模な地すべりが発生し,多数の人的・物的被害がでた.これを受けて(独)国際協力機構(JICA)は,首都圏地すべり防止計画のスキームで集水井といった地すべりハード対策を実施してきた.ソフト対策では,国連開発計画(UNDP)が,1:50,000スケールの土砂災害ハザードマップを作成した.しかしながら,この地図で示された地すべり地形は,大規模なものしか抽出されていない問題があった.また最大の問題は,本ハザードマップがUNDPより受託したホンジュラス国外のコンサルタントが作成したものであり,テグシガルパ市の防災担当機関にその作成技術の移転はなされていないことにある.こうした背景から,JICAは自治体の防災担当者および大学教員に対して,詳細な地すべりハザードマップの作成を通した防災教育を実践してきた.とくに,自治体防災担当者のみならず大学にも技術移転してきた理由としたのは,同国には高等教育機関において地形学の教育が行われていない点,また,地質学の研究者の数も少なく,防災に関する教育はほとんど行われていない点にある.自治体における防災担当者ならびに実務家を持続的に養成するには,高等教育機関における防災教育の学修は必要不可欠である.本発表では,筆者らがJICAの専門家として実践してきた事例を紹介する.