JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] [JJ] ジオパーク

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS14-P06] 熊本地震の住民セミナーの取組と課題抽出

*中川 和之1津村 紀子2 (1.時事通信社解説委員、2.千葉大学大学院理学研究科)

キーワード:ジオパーク、熊本地震

熊本地震発生4カ月後の8月17日、阿蘇市で、日本地震学会、日本ジオパークネットワーク、阿蘇ジオパーク推進協議会および日本活断層学会が共催で、熊本地震の被災地住民を対象に、今回の地震について説明を行う「住民地震セミナー」を開催した。
セミナーは2部構成で、第1部では、「熊本地震、分かっていたこと、分かったこと、分っていないこと」と題して、地震や活断層,火山の研究者が、今回の熊本地震に関するそれぞれの専門からの説明を行った。第2部では、第1部講演者に池辺伸一郎阿蘇火山博物館館長や横山博文福岡管区気象台台長も加わって、参加者からの様々な疑問・質問に答えた。
冒頭,黙祷と地元阿蘇市の佐藤市長の挨拶の後,山岡耕春地震学会会長(名古屋大学環境学研究科)が地震を引き起こす断層の種類や断層面積と地震の規模(マグニチュード)の関係など地震の基礎知識を解説.続いて清水洋氏(九州大学理学研究院)が九州の地震活動と熊本地震について,今回の地震は布田川・日奈久断層が右ずれ運動をして発生したと考えられるが,より細かく見ると布田川断層周辺の複数の断層が複雑に運動した可能性があることなどを紹介した.熊原康博氏(広島大学教育学研究科)は、地震直後からの現地での断層調査やそれにより見つかった地震による地表の変位(地表地震断層)について話し、布田川断層がカルデラ内部まで及んでいると推定されることなどを報告した.大倉敬宏氏(京都大学火山研究センター)は地震時の火山研究センターの被災状況や阿蘇山の火口の様子、そこで観測されていたデータの特徴と,今後の火山活動に関する見解を述べた.
後半の質問コーナーでは,断層の位置と揺れ方の関係や今回の地震が中央構造線で起こる地震や南海トラフ地震発生にどんな影響を与えるかといった質問や、家を再建するときどんな事に気を付けたらいいかといった身近な疑問が寄せられた.
セミナーの参加人数は、阿蘇市,熊本市,益城町のほか熊本県内外から約150名.参加者からは「講演がわかりやすかった」,「実生活に活かせる減災の工夫をもっと知りたい」という感想があった.
今回は、そのアンケート結果などをもとに紹介する。