JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[O06-P27] 「観光客に選ばれるオリジナルグッズの開発」
~地域づくり推進団体「熊野円座」による南紀熊野ジオパークガイドの取組

*福辻 京子1,2西浦 康代1,2 (1.南紀熊野ジオパークガイドの会、2.熊野円座)

キーワード:オリジナルグッズ、人気投票、地域経済に繋がる

和歌山県の「南紀熊野ジオパーク」が日本ジオパークに認定されてから2年。エリア内では、様々な団体がジオに関連した活動を行っており、例えばジオツアーなどは安定した人気で、参加者も徐々に増えてきている。
 ただ、地元の土産物店などではジオパークに関連したグッズはほとんど見られず、観光客が南紀熊野ジオパークを訪れてくれても、思い出に残る土産物を買って帰ってもらえない状況である。
 私たちが所属する「熊野円座」は、観光ガイドや観光関係者、自営業者、会社員、会社役員、地方議会議員、自治体職員など、様々な職種のメンバーが集まって住民主体の地域づくりに取り組む団体である。これまでも、南紀熊野ジオパーク推進協議会の活動促進事業を活用し、ジオ紙芝居の制作や、ラムサール条約湿地とジオパークをコラボさせた講演会を開催してきたが、2016年度は観光客に選ばれるジオグッズの開発に取り組むこととした。
 グッズのデザインは重要なので、自分たちでデザインせず、デザイナーにお願いすることにした。地域内でお金を循環させるために地元のデザイナーを起用することとし、南紀熊野ジオパークのジオガイド養成講座を受講しているデザイナーにお願いしたので、ジオパークのイメージを伝えるのは容易であった。
 デザイナーからはジオパークらしいデザイン案を6種提案してもらい、製品化するデザインと価格帯を人気投票で決めることにした。人気投票の場は、Facebookと、10月に伊豆半島で開催される日本ジオパーク全国大会の場を活用することにした。Facebookでも全国大会でもアンケートの結果は同じであったため、人気のあった2つのデザイン案を元に、試作品を作ることにした。
 何を作るかについても人気価格帯から考えることにした。メンバーからは、Tシャツ、トートバッグ、タオル、手ぬぐい、マグカップ、立体メモ、クリアファイル、マスキングテープなど様々なアイディアが出た。しかし、Tシャツは様々なサイズを制作せねばならず、在庫を抱える恐れがあることから断念。最終的には、トートバッグ、マグカップ、クリアファイルの3種の試作品を、2種類のデザインで制作してもらうことにした。そしてデザイナーから届いた試作品のデザインを見比べた結果、観光客にも知られている有名なジオサイトをフラットに配置したデザインを採用することにした。
 そして、2017年2月14日に開催した「第4回南紀熊野ジオパークフェスタ」で初売りした結果、トートバッグ(1200円)は4袋、マグカップ(1000円)は11個、クリアファイル(200円)は19枚売れた。
 「ジオパーク」という、一般的にあまり馴染みのない概念をデザインにするのは難しいが、今回はジオガイド養成講座の受講生をデザイナーに起用したため、ジオパークの魅力を伝えられるデザインが完成した。同じ想いを共有することが大切だと感じた。また、全国的にアンケート調査することで自分達の地域愛だけではなくみんなが求めるデザインが分かり安心して製品化する事ができた。
 ただ、ジオパークフェスタでの売れ行きがあまり良くなかったのは、事前のPRが足りなかったせいでもあると思うので、開発の途中経過を地元新聞などに取り上げてもらえばよかったのかもしれない。
 今後は地域経済に繋がるようにオリジナルグッズの販路も考えていく。今回、デザインを依頼したデザイナーにも「熊野円座」に加入してもらったため、団体のさらなるパワーアップに繋がった。
 これからも、南紀熊野ジオパークという地域資源・人材をより魅力的なものにしていくため、そして地元を盛り上げていくため、地域活動に取り組んでいきたい。