JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] [EJ] 重力・ジオイド

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SGD02-P08] 神岡における超伝導重力計による重力観測12年

*田村 良明1今西 祐一2池田 博3名和 一成4杉原 光彦4宮川 歩夢4 (1.国立天文台水沢VLBI観測所、2.東京大学地震研究所、3.筑波大学低温部門、4.産業技術総合研究所)

キーワード:超伝導重力計、重力変化、神岡、東北地方太平洋沖地震

岐阜県飛騨市神岡町にある東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設の地下施設において、2004年10月から2016年4月の間、GWR社製の超伝導重力計(SG)TT70型016号機により重力変化の連続観測が行われた。重力計の設置場所は、坑口からは約2km、かぶりが約1kmある場所で、強固な岩盤(飛騨片麻岩)に囲まれており、静穏な環境のもとでSGの特性を生かした高感度で安定した観測を行うことをめざしてきた。

重力変化の観測からは種々な観測データが得られており、地球潮汐、自由振動、地震に伴う重力変化、季節変化、経年変化などの現象が捉えられている。SGによる観測はドリフトが小さいものの、重力の経年変化を議論する場合にはSGの機械的なドリフトと現象を分離することが困難である。そこでSGの観測期間中、SGが設置されている神岡坑内で絶対重力測定がくり返し実施され、SGの弱点を補う観測が行われている。初期には京都大学理学研究科所有のFG5#210により、後期には産業技術総合研究所所有のFG5#217により絶対重力観測が実施された。絶対重力測定は重力の経年変化を捉えることを目的としているが、SGのスケール定数検定にもデータが使われている。

地震発生時の重力変化については、2007年3月の能登半島地震について議論した。また、2011年3月の東北地方太平洋沖地震については、地震発生後、年間約10μgalという高いレートで重力が減少し続けていることを明らかにした。季節変化については10~30μgalと大きな変化が観測されており、陸水の影響、特に積雪の影響については積雪データの収集法を含めて詳細な検討を行っている。これまで行ってきた12年間の観測結果について、改めてまとめの報告を行う。