[SSS07-P08] 平成23年と平成28年の茨城県北部の地震に伴う地表変動の衛星SAR差分干渉解析
キーワード:茨城県北部、地震、地表変位、衛星SAR差分干渉、2.5次元解析
平成23年3月19日と平成28年12月28日に茨城県北部で生じた地震に関して,地震前後のALOS PALSARデータ(平成23年)とSentinel-1 CSARデータ(平成28年)の差分干渉解析を実施し,地表変位量の分布パターンを調査した。2件の地震ともに,北行軌道と南行軌道の干渉ペアが利用可能であり,これらを用いて2.5次元解析を実施して変位量を東西方向と上下方向に分解し,変位の分布パターンを比較した。平成23年の地震前後の干渉ペアは,東北地方太平洋沖地震による広域変位量を含むため,電子基準点データにより広域変位量をシミュレートしてこれを除き,局地変位量を算出した。断層の地表トレースは,平成23年と平成28年でほぼ同一であり,巨視的には,同じ断層が活動した可能性が高いと考えられる。2.5次元解析の結果,上下方向と東西方向の最大変位量の位置は異なることが判明し,その分布パターンから,リストリックな形状を成す断層面に沿う正断層の活動が示唆される。これらの地震に伴い生じた地表変位量は,上下方向・東西方向とも,平成28年の地震のものに比べて平成23年のものが2倍程度大きく,震源から断層の地表トレース付近までの距離の違いを反映しているものと考えられる。震源の深さは,気象庁の発表に基づくと平成23年の地震が約5km,平成28年の地震は約11kmであり,断層の地表トレースからの震央までの距離は,平成23年の地震で約5km,平成28年の地震で約12kmである。