[SVC48-P11] 霧島火山群硫黄山周辺の温泉・地中温度の繰り返し調査(2)
キーワード:霧島火山群硫黄山、地熱活動、火山活動
霧島火山群・硫黄山付近では,2014年8月以降地盤変動を伴う火山性微動がしばしば硫黄山直下で発生し,2015年12月には噴気が復活していることが確認された(気象庁予知連資料).本研究者らは,霧島火山群の活動に関連して硫黄山の地熱活動がどのような推移を示すかに注目し,周辺において地中温度調査および温泉・湧水の電気伝導度・化学分析を継続してきた.以下にその結果を報告する.
えびの高原の地中温度の変化:硫黄山西麓では1980年代に10か所において1m深地中温度の繰り返し測定を行っていた.その中で,40℃程度の比較的高温を示していた2か所で1m深地中温度の連続測定を行った.その結果,2015年10月頃から0.6℃上昇し,2016年10月頃からさらに0.4℃上昇していることがわかった.この時期は,前者は硫黄山山頂部の噴気復活の直前であり,後者は硫黄山西麓において硫化水素の放出量が増大した時期に対応している.山頂部では水の沸点程度の噴気活動域が拡大しており、この結果とあわせて考えると,今後とも地熱活動の拡大は続くと思われる.
えびの高原周辺の温泉・湧水の電気伝導度および化学成分の時間変化:えびの高原には,硫黄山の北側および西側に湧水が見られる他,えびの高原ビジターセンターでは掘削孔からくみ上げられた温泉水が足湯として利用されている.これらの水の電気伝導度および化学分析を行い,硫黄山付近に湧出する水にマグマ起源物質が多く含まれていることを示している(鍵山他, 2012).これらの水の電気伝導度を繰り返し測定した結果(2008 年から2016 年12 月まで),硫黄山の西麓および北東麓では,雨による希釈のために測定値が大きく変動するが,その変動幅を上回る塩素イオン濃度の増大が見られている.また,硫黄山西麓では,塩素イオン/硫酸イオン比は,2014年10月以降0.002から0.06まで増大している.一方,足湯では測定値は比較的安定しており細かく見ると,硫酸イオン濃度が1060 mg/lから1450 mg/l に増大し,塩素イオン/硫酸イオン比は0.12から0.07まで徐々に低下している.このことは,2014年8月の微動発生以降,火道に近い硫黄山西麓では塩素イオン濃度が増大しているのに対して,火道からやや離れて帯水層を通して溶存成分が供給される足湯では塩素イオンに比べて硫酸イオン濃度が増大していることを示している.こうした変化はマグマ起源の火山ガスの供給増大を反映していると思われる.
えびの高原の地中温度の変化:硫黄山西麓では1980年代に10か所において1m深地中温度の繰り返し測定を行っていた.その中で,40℃程度の比較的高温を示していた2か所で1m深地中温度の連続測定を行った.その結果,2015年10月頃から0.6℃上昇し,2016年10月頃からさらに0.4℃上昇していることがわかった.この時期は,前者は硫黄山山頂部の噴気復活の直前であり,後者は硫黄山西麓において硫化水素の放出量が増大した時期に対応している.山頂部では水の沸点程度の噴気活動域が拡大しており、この結果とあわせて考えると,今後とも地熱活動の拡大は続くと思われる.
えびの高原周辺の温泉・湧水の電気伝導度および化学成分の時間変化:えびの高原には,硫黄山の北側および西側に湧水が見られる他,えびの高原ビジターセンターでは掘削孔からくみ上げられた温泉水が足湯として利用されている.これらの水の電気伝導度および化学分析を行い,硫黄山付近に湧出する水にマグマ起源物質が多く含まれていることを示している(鍵山他, 2012).これらの水の電気伝導度を繰り返し測定した結果(2008 年から2016 年12 月まで),硫黄山の西麓および北東麓では,雨による希釈のために測定値が大きく変動するが,その変動幅を上回る塩素イオン濃度の増大が見られている.また,硫黄山西麓では,塩素イオン/硫酸イオン比は,2014年10月以降0.002から0.06まで増大している.一方,足湯では測定値は比較的安定しており細かく見ると,硫酸イオン濃度が1060 mg/lから1450 mg/l に増大し,塩素イオン/硫酸イオン比は0.12から0.07まで徐々に低下している.このことは,2014年8月の微動発生以降,火道に近い硫黄山西麓では塩素イオン濃度が増大しているのに対して,火道からやや離れて帯水層を通して溶存成分が供給される足湯では塩素イオンに比べて硫酸イオン濃度が増大していることを示している.こうした変化はマグマ起源の火山ガスの供給増大を反映していると思われる.