JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] [JJ] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 コンベンションホールA (国際会議場 2F)

コンビーナ:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、宮嶋 敏(埼玉県立熊谷高等学校)、根本 泰雄(桜美林大学自然科学系)、小森 次郎(帝京平成大学)、座長:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、座長:宮嶋 敏(埼玉県立熊谷高等学校)

16:15 〜 16:30

[G02-04] 地域の特性を活用した地盤の変動史のとらえ方を長町―利府断層直上の学校現場で考える

*中村 亮1 (1.宮城県利府高等学校)

キーワード:地質柱状図、長町―利府断層、ボーリングコア分析、土質調査、安達-愛島軽石層

宮城県利府町は大規模な活断層型である長町―利府線に沿って開けた町である。しかし仙台市以西と異なり,人口密集地でないことや水田等の低湿地も分散するなどでその断層の追跡はほとんどなされていない。そこで町内における学校の部活動(利府高校自然科学部ジオ班)の一環として推定断層の追跡やその変位量の推測を行い,その断層直上と思われる本校の建設時に行われていたボーリング調査(昭和58年アジア航測株式会社実施)によるコア試料を生徒とともに読み取った。断層の動きや圧縮力による地盤の変化がどのような影響をもたらしたのか,また断層の変位によってどのような影響が現れる可能性があるか,活動の中で議論したことを防災教育の視点を絡め報告したい。

(1) 断層変位量の推測
 都市圏活断層図「仙台」(国土地理院 平成18年第2版)及び25000分の一地形図「仙台東北部」「松島」(国土地理院)を用いて利府町内(主に東仙台駅―利府駅周辺)で傾斜を観察しながら歩き,地図上へ記録し変位量をまとめた。利府町内では3~4列に地震断層がほぼ平行に表れている面がある可能性を認めた。しかし表土や市街地に覆われずれの断面を認めることはできていない。町域の中では北面より南面の方が傾斜が急で50m程度の落差が多く認められた。

(2) 断層直上の地盤の調査活動
 利府高校建設時の6か所のボーリングコアなどを調査した。コア試料は最深部で地上より20m程度のものが残されているが,学校造成時に主に砂礫を盛り土した影響が多々見られる。本来利府町内は第四紀に活動した宮城県の安達-愛島火山の火山灰が沖積層とともに堆積し,実際にボーリングコアからも多くの砂礫に交じり軽石を含んだ凝灰岩層が散見された。
 自然科学部の活動の中でこの堆積層の柱状図を作成し,火山灰の起源となる火山の特定は難しかったものの,堆積物の粒度や堆積方向の観察を行い,堆積環境の変化がどう見えるのか議論した。また,これらの堆積物が乗せている構造物が,地盤の変動によってどう影響を受けるのか,考察した内容も報告する。