JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] [JJ] 地球惑星科学のアウトリーチ

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

[G03-P02] 高精細3次元点群情報を活用したダンボールモデルの作成と地形の立体的な理解

*早川 裕弌1小花和 宏之2 (1.東京大学空間情報科学研究センター、2.株式会社ビジョンテック)

キーワード:高精細地形情報、地上レーザ測量、無人航空機、SfM多視点ステレオ写真測量、3次元点群、アウトリーチ

近年,地上レーザ測量(TLS)や,小型無人航空機(UAS)からの低空空撮写真を用いたSfM多視点ステレオ写真測量といった手法により,3次元の高精細地形情報の取得が地球惑星科学の分野でも普及してきている。一方,とくにUASはさまざまなニュース,たとえば産業活用や,各地における事件・事故を通して,一般にも広く知られるようになり,またレーザ測量や写真測量も,自動車の自動運転などにおける基幹技術として社会的にも注目されつつある。ところが,これらの技術の地球惑星科学的活用事例に関しては,現時点ではまだ広く知られているとは言い難い状況である。これは,高精細地形情報を用いた地球惑星科学的な先端研究は推進されつつあるのに対し,その教育あるいは学習素材としての活用が,まだ多くはなされていないことも一因であると考えられる。
 ところで,3Dプリンタや仮想現実(VR)・拡張現実(AR)技術の発展にともない,現実の景観をもとにした3次元情報も有効活用されることが期待されている。しかしながら,こうした最新の3D技術は,複雑な自然景観を再現するためには充分な事例研究や蓄積がなされておらず,その容易な活用のためには今後のさらなる最適化や低価格化が求められる。そこで本研究では,現実の自然地形景観の測量結果として得られた3次元の高精細地形情報を,より身近な素材を用いて再現することを試みた。具体的には,九十九里海岸南端の太東崎付近における,海岸侵食の進行する雀島の3D点群データをもとに,高さ方向に一定間隔にスライスした点群データを作成して,印刷用紙に印刷した。これをダンボールに糊で貼り付け,はさみを用いて切り抜き,それらを積み上げることで,ダンボールによる立体モデルを作成した。この過程により,等高線の概念や,積み上げた立体モデルに表現される岩盤侵食の痕跡,オーバーハングする崖面や海食洞の形成過程,島全体の形態的特徴など,従来の地形図では表現が不可能であった3次元的な地形の理解に役立てられると考えられる。さらに,崖や滝,洞窟といった複雑な地形における適用も可能である。