JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG34] [JJ] 閉鎖生態系と生物のシステム―生物のシステムを介した物質循環

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:富田ー横谷 香織(筑波大学大学院生命環境科学研究科)、木村 駿太(筑波大学大学院生命環境科学研究科)

[HCG34-P04] 乾燥耐性ラン藻 Nostoc sp. HK-01 の乾燥及び蘇生過程に関与するタンパク質の探索

*安部 智子1小松原 椋1飯室 瑠里香1木村 駿太2加藤 浩3木村 靖子4富田ー横谷 香織2 (1.東京電機大学理工学部、2.筑波大学大学院生命環境科学研究科、3.三重大学、4.十文字学園女子大学)

キーワード:シアノバクテリア、乾燥耐性、ストレスタンパク質

Nostoc 属はネンジュモとも呼ばれるラン藻であり、陸棲の種は乾燥に対し強い耐性を示すことが知られている。特に Nostoc commune は乾燥ストレスに対し強い耐性を示し、菌体が乾燥した状態でも長期間生存可能であることが以前から知られている。本実験に用いた菌株 Nostoc sp. HK-01 は、乾燥耐性を指標に、陸棲シアノバクテリアの中でも特に乾燥に強い株として新たに陸上から単離された株である。乾燥後にデシケーター内に長期間放置した後でも、液体培地で培養すると乾燥前と同様に増殖を始めることが確認されている。さらに、本菌株は乾燥状態で高い耐熱性(100ºC, 10時間)を示すことも報告されており、過酷環境耐性研究の分野でも注目されている。

本研究では、Nostoc sp. HK-01 株のこのような高い過酷環境耐性の獲得に関与する遺伝子を明らかにすることを目的とした。そのため、まず本菌体が湿潤状態(液体培養中)から乾燥状態に移行する際に特異的に増加・減少するタンパク質、または乾燥状態から湿潤状態に戻る過程(蘇生)で増加・減少するタンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて同定することにした。Nostoc sp. HK-01 株を液体培地中で十分に増殖させた後に集菌し、デシケーター中で乾燥させた。菌体が十分に乾燥するまでの間、乾燥過程にある菌体を経時的にサンプリングした。次に、2週間以上乾燥させた菌体に液体培地を加え、膨潤させた。乾燥過程と同様に、蘇生過程においても経時的にサンプリングを行った。それぞれサンプリングした菌体は、超音波で破砕し、細胞タンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して解析した。その結果、乾燥過程あるいは膨潤過程で特異的に発現量が増加あるいは減少するタンパク質がいくつか確認された。これらのタンパク質は本菌株の過酷環境耐性に関与している可能性がある。