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[HDS16-06] 北海道東部17世紀の巨大地震による津波断層モデルの検討
キーワード:津波断層モデル、津波堆積物、インバージョン、被害想定
内閣府では「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会(2015年2月設置)」において、日本海溝および千島海溝で発生する最大クラスの地震の検討を実施しているところである。その一環として、横田ほか(2015)では2011年東北地方太平洋沖地震の津波断層モデルの見直しを行っており、現在は北海道東部太平洋沿岸での17世紀の巨大地震による津波断層モデルの検討を行っている。
南海トラフでの地震に比べ、北海道東部17世紀の巨大地震については津波による歴史資料は少ないが、海岸域のみでなく内陸部においても津波堆積物調査が精力的に行われている(例えば、七山ほか(2003)、平川ほか(2005))。これらの調査から抽出される津波堆積物データにより推定された浸水範囲および沿岸での津波の高さを説明する津波断層モデルとしては、例えば佐竹ほか(2008)やIoki and Tanioka(2016)がある。これらの津波断層モデルは、数枚の矩形断層を設定し、浸水範囲や沿岸の津波の高さをフォワード計算により説明することを試みたものである。
これに対して本検討では、浸水範囲や沿岸の津波の高さをターゲットデータとして、プレート上に配置した断層セグメントのすべり量をインバージョン解析に基づいて推定し、津波断層モデルの推定を行った。ここで、断層すべりが海溝軸まで及んでいたかどうかが問題となる。そこで、本検討においては、モデルA(海溝軸まですべるモデル)とモデルB(海溝軸まですべらないモデル)の2パターンを想定してすべり量分布を求めた(暫定解)。モデルAとモデルBの主な特徴は以下のとおりである。
1) モデルA: Mw=9.2、Mt=9.1
最大すべり量68m、平均すべり量14m
2) モデルB: Mw=9.1、Mt=9.0
最大すべり量36m、平均すべり量11m
浸水範囲や沿岸の津波の高さは、いずれのモデルにおいて同程度に再現できたが、モデルBに対してモデルAは、海溝軸近傍でのすべり量がより大きくなるモデルとなることが分かった。この原因としては、海溝軸近傍のプレート傾斜角が小さいため、大きな津波を発生させるためにはすべり量も大きくする必要があるためであると考えられる。
南海トラフでの地震に比べ、北海道東部17世紀の巨大地震については津波による歴史資料は少ないが、海岸域のみでなく内陸部においても津波堆積物調査が精力的に行われている(例えば、七山ほか(2003)、平川ほか(2005))。これらの調査から抽出される津波堆積物データにより推定された浸水範囲および沿岸での津波の高さを説明する津波断層モデルとしては、例えば佐竹ほか(2008)やIoki and Tanioka(2016)がある。これらの津波断層モデルは、数枚の矩形断層を設定し、浸水範囲や沿岸の津波の高さをフォワード計算により説明することを試みたものである。
これに対して本検討では、浸水範囲や沿岸の津波の高さをターゲットデータとして、プレート上に配置した断層セグメントのすべり量をインバージョン解析に基づいて推定し、津波断層モデルの推定を行った。ここで、断層すべりが海溝軸まで及んでいたかどうかが問題となる。そこで、本検討においては、モデルA(海溝軸まですべるモデル)とモデルB(海溝軸まですべらないモデル)の2パターンを想定してすべり量分布を求めた(暫定解)。モデルAとモデルBの主な特徴は以下のとおりである。
1) モデルA: Mw=9.2、Mt=9.1
最大すべり量68m、平均すべり量14m
2) モデルB: Mw=9.1、Mt=9.0
最大すべり量36m、平均すべり量11m
浸水範囲や沿岸の津波の高さは、いずれのモデルにおいて同程度に再現できたが、モデルBに対してモデルAは、海溝軸近傍でのすべり量がより大きくなるモデルとなることが分かった。この原因としては、海溝軸近傍のプレート傾斜角が小さいため、大きな津波を発生させるためにはすべり量も大きくする必要があるためであると考えられる。