[HQR05-P07] ボーリングデータを基礎にした三次元浅部地盤モデルの構築手法と東京低地の例
キーワード:3次元地質モデル、ボクセルモデル、ボーリングデータ、東京低地、地盤モデル
地盤モデルは,地震動や液状化危険度評価をはじめ工学的研究の基盤をなすものである.都市平野域では,国および自治体が地盤調査で得たボーリングデータが大量に蓄積・整備されてきており,地盤モデル構築にとって有用なデータとして利用されている.このボーリングデータに基づいた地盤モデル構築の手法や仕様は,全国電子地盤図を始め多様であるが,三次元的な地層の連続性を考慮せずに,メッシュ単位で代表的なボーリング柱状図から地盤モデルを定めることが多い.そのメッシュサイズは一般に500mないし250m区画である.浅部地盤は,地表地形の変化,地下に伏在する不整合面や埋没地形面,堆積環境の変化などを反映した急激な土質・物性の側方変化を示すため,その精度は,従来の250mメッシュでは粗く,より高解像度の100mないし50mメッシュが望ましい.しかし,上記の方法では,このような細分メッシュではボーリングデータのないメッシュが大半を占めるため,その適用が困難になる.
浅部地盤の特徴は,埋没谷や侵食地形,断層などの不整形な地下構造が伏在し,岩相や物性も側方に変化に富むことである.このような浅部地盤のモデル化において,ボーリングデータを始めとする地盤情報の量や密度は一般に不十分であり偏在している.木村ほか(2014)は,不足する地下情報を補う上でも有効な,地形・地質の成り立ちに基づく地層境界の面モデルの構築手法(木村ほか,2013)と,江藤ほか(2008) で開発された,ボーリングデータ(主に標準貫入試験調査)の土質区分とN値の三次元グリッドモデル(ボクセルモデルの一種)の構築手法(江藤ほか,2008)を基礎に,沖積層基底面の地層境界面で制約した三次元グリッドモデル化の手法を開発し,東京低地北部から中川低地においてその実例を示した.
本研究では,同手法を基礎に,ボーリングデータを用いた三次元グリッドモデル構築手法の適用性の拡大をはかる目的で,モデル構築プログラムと手法の改良を行うとともに,東京湾岸低地と隣接する台地地域でモデル化を行った結果を発表する.
三次元グリッドモデルは,個々のグリッド(ノード)の属性値として,土質区分とN値,および地層区分情報を有する.浅部地盤の不整形な特性は,その境界となっている地層境界面モデルによって制約する.モデル化は,前処理から,プログラムでの計算処理,可視化と検証,応用にいたる6つの段階に区分される.前処理には,モデル化に利用するボーリングデータの収集・電子化・品質確認,対象地域の地形・地質情報の整理と標準層序の設定,ボーリングデータの地層区分などがある.ボーリングデータの一連の処理には,産総研・防災科研から公開されているボーリングデータ処理システムの一連のソフト群とFOSS4GのQGISを用いた.なお,ボーリングデータのファイル形式はボーリング交換用形式のXMLファイル(国交省の地質・土質調査要領)に準拠している.モデル構築プログラムは,ボーリングデータから,①土質・N値・地層区分の情報を抽出し,それらの名称・数値・区間標高などを規格化すること,②抽出した各地層境界情報から,地層境界面モデルを求めること,③三次元グリッドの空間補間処理計算(IDW)の実行を行うこと,の3段階を経てグリッドモデルをCSV形式のファイルで出力する.プログラムは,Python3で記述されており,面モデル計算用に,BS-Horizon(野々垣ほか, 2008)を組み込んでいる.
東京低地および周辺地域のモデル範囲は,JGD2000/UTM54帯の空間参照系において,X=387,000 – 407,000m, Y=3,944,400 – 3,956,500m,標高‐80 – +30m,東西20km,南北12.5km,グリッドサイズは,水平100m区画,垂直1mである.用いたボーリングデータは自治体・国から提供を受けた約6000本である.
三次元グリッドの空間分布を制約するために,木村ほか(2012)による沖積層基底面モデルと,今回新たに作成した河成段丘面,東京層基準面の各地層境界面,地盤の上面を境する地表面モデルを活用した.武蔵野台地から東京低地西部に分布する更新統は,東へ約1%の勾配で傾動している.上記③のグリッド計算の際に,東京層基準面を用いて水平補正を行い傾斜の影響を除去した.
三次元グリッドモデルの可視化は,エクセルのVBAを用いた断面図作成,ボーリング柱状図解析システム(産総研)への読み込みと表示,ボクセラー(Voxler)による三次元表現の3方法を用いている.
浅部地盤の特徴は,埋没谷や侵食地形,断層などの不整形な地下構造が伏在し,岩相や物性も側方に変化に富むことである.このような浅部地盤のモデル化において,ボーリングデータを始めとする地盤情報の量や密度は一般に不十分であり偏在している.木村ほか(2014)は,不足する地下情報を補う上でも有効な,地形・地質の成り立ちに基づく地層境界の面モデルの構築手法(木村ほか,2013)と,江藤ほか(2008) で開発された,ボーリングデータ(主に標準貫入試験調査)の土質区分とN値の三次元グリッドモデル(ボクセルモデルの一種)の構築手法(江藤ほか,2008)を基礎に,沖積層基底面の地層境界面で制約した三次元グリッドモデル化の手法を開発し,東京低地北部から中川低地においてその実例を示した.
本研究では,同手法を基礎に,ボーリングデータを用いた三次元グリッドモデル構築手法の適用性の拡大をはかる目的で,モデル構築プログラムと手法の改良を行うとともに,東京湾岸低地と隣接する台地地域でモデル化を行った結果を発表する.
三次元グリッドモデルは,個々のグリッド(ノード)の属性値として,土質区分とN値,および地層区分情報を有する.浅部地盤の不整形な特性は,その境界となっている地層境界面モデルによって制約する.モデル化は,前処理から,プログラムでの計算処理,可視化と検証,応用にいたる6つの段階に区分される.前処理には,モデル化に利用するボーリングデータの収集・電子化・品質確認,対象地域の地形・地質情報の整理と標準層序の設定,ボーリングデータの地層区分などがある.ボーリングデータの一連の処理には,産総研・防災科研から公開されているボーリングデータ処理システムの一連のソフト群とFOSS4GのQGISを用いた.なお,ボーリングデータのファイル形式はボーリング交換用形式のXMLファイル(国交省の地質・土質調査要領)に準拠している.モデル構築プログラムは,ボーリングデータから,①土質・N値・地層区分の情報を抽出し,それらの名称・数値・区間標高などを規格化すること,②抽出した各地層境界情報から,地層境界面モデルを求めること,③三次元グリッドの空間補間処理計算(IDW)の実行を行うこと,の3段階を経てグリッドモデルをCSV形式のファイルで出力する.プログラムは,Python3で記述されており,面モデル計算用に,BS-Horizon(野々垣ほか, 2008)を組み込んでいる.
東京低地および周辺地域のモデル範囲は,JGD2000/UTM54帯の空間参照系において,X=387,000 – 407,000m, Y=3,944,400 – 3,956,500m,標高‐80 – +30m,東西20km,南北12.5km,グリッドサイズは,水平100m区画,垂直1mである.用いたボーリングデータは自治体・国から提供を受けた約6000本である.
三次元グリッドの空間分布を制約するために,木村ほか(2012)による沖積層基底面モデルと,今回新たに作成した河成段丘面,東京層基準面の各地層境界面,地盤の上面を境する地表面モデルを活用した.武蔵野台地から東京低地西部に分布する更新統は,東へ約1%の勾配で傾動している.上記③のグリッド計算の際に,東京層基準面を用いて水平補正を行い傾斜の影響を除去した.
三次元グリッドモデルの可視化は,エクセルのVBAを用いた断面図作成,ボーリング柱状図解析システム(産総研)への読み込みと表示,ボクセラー(Voxler)による三次元表現の3方法を用いている.