JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC08] [JJ] 地球温暖化防止と地学(CO2地中貯留・有効利用、地球工学)

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 301B (国際会議場 3F)

コンビーナ:徳永 朋祥(東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、座長:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)

14:15 〜 14:30

[HSC08-03] 二酸化炭素の地中貯留におけるCO2貯留層内の圧力抑制に関する数値解析検討

*藤田  クラウディア1平塚 裕介1山本 肇1中島 崇裕2薛 自求2 (1.大成建設株式会社、2.公益財団法人地球環境産業技術研究機構)

キーワード:二酸化炭素の回収貯留、圧力上昇、地層水生産

二酸化炭素回収貯留(CCS)を商業化するにあたり、大規模なCO2圧入時の大きな問題の一つとして、貯留層内圧力の上昇がある。圧力上昇が大きいと、必要な圧入レートでの継続的な圧入操業が困難になるだけでなく、周辺の地層の安定性に影響を与える可能性も指摘されている。
 本研究では、CO2の圧入による圧力上昇を減少する方法としてBusheckら(2014)が提案した、地層水の事前揚水により予め貯留層圧を低減する手法(デュアルモード坑井)ならびに圧入と同時に別の坑井にて地層水を生産する手法を検討した。数値解析コードとしては多成分・多相流体と熱流動の数値解析コードTOUGH2(LBNL開発)を用いた。
ケーススタディーとして、北海道の苫小牧市で実施中の大規模CCSプロジェクトでの圧入対象層に相当するモデルを作成し、上記の手法の効果を次に述べる3つのケースで検討した。
 ケース1は基本ケースであり、地層水生産無しでCO2を圧入するケースである。ケース2では圧入開始に先立って5年間地層水を生産してからCO2を圧入する。最後にケース3ではCO2を圧入と同時に別の坑井から地層水を生産する。なお、CO2の圧入期間は100年間とし、1年当たり20万トンCO2を圧入し、生産井で地層水を同じ質量レートで生産した。
 この結果から、今回の条件においては、デュアルモード井よりも、個別生産井手法がCO2圧入時の貯留層圧力上昇を抑制し、圧入レートの維持する上で有効であることが分かった。ただし、貯留層の体積が小さい場合にはデュアルモード坑井の効果が高くなる。また事前の地層水の生産期間を延長することにより大きな効果が得られると考えられる。  
個別生産井を用いた手法は、圧入可能なCO2容量を増やし、CCSの対象サイトの選択肢を増やすことに役立つと考えられる。