JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT25] [JJ] 地理情報システムと地図・空間表現

2017年5月20日(土) 09:00 〜 10:30 106 (国際会議場 1F)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)、座長:吉川 眞(大阪工業大学)、座長:小荒井 衛(茨城大学)

09:30 〜 09:45

[HTT25-03] RとGISによるPM2.5の地形圧縮効果の解析

*山川 純次1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:PM2.5、クリギング、地球統計学、R、GIS、FOSS4G

大気中に浮遊する空気力学半径が2.5マイクロメートル以下の粒子グループであるPM2.5の環境動態は,市民の健康に対する影響を検討する上で重要である。この目的に必要となる3km前後の空間解像度を少ない観測点からのデータで実現するために,PM2.5の観測濃度に関する時系列解析および空間統計解析による高解像度推定が行われる。本研究ではさらに,高解像度で推定されたPM2.5推定濃度分布を元にRとGISを用いて環境動態を解析し,地形による圧縮現象の検討した。

対象地域は岡山県南部で岡山市から倉敷市に渡る東西約40km, 南北約30kmである。この地域におけるPM2.5の観測濃度データは岡山県の環境データ公開ウェブサイトから取得した。対象地域のDEMはJPGIS (国土地理院, 2017)を使用した。クリギング法はR (R core team, 2016)とその空間統計ライブラリであるmaptools (Bivand and Lewin-Koh, 2014), rgdal (Bivand, Keitt and Rowlingson, 2014)およびgstat (Pebesma, 2014)によって実行した。解析結果の地図表現はQGIS (QGIS Development Team, 2016)とGoogle earth (Google, 2016)によって行なった。なおrgdalとQGISはOpen Source Geospatial Foundationの下で開発されているFOSS4Gソフトウェアの一部である。

まず高解像度PM2.5推定濃度分布の遷移に基づいて,対象地域全体から地形による圧縮が発生していると考えられる区画を設定した。次にこの区画に関してPM2.5の濃度圧縮時間(アタックタイム)と濃度緩和時間(リリースタイム)および濃度圧縮比(レシオ)から構成される圧縮条件を求めた。さらにGISを使って対象地域のDEMから勾配分布を作成した。最後にPM2.5の圧縮条件分布と勾配分布の相関をRを使って検討した。その結果,PM2.5の濃度圧縮は傾斜度に相関することが示された。PM2.5の地形圧縮効果と気象の相関は今後の検討課題である。