JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT26] [JJ] 浅層物理探査

2017年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 105 (国際会議場 1F)

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、高橋 亨(公益財団法人深田地質研究所)、青池 邦夫(応用地質株式会社)、井上 敬資(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)、座長:横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、座長:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)

16:45 〜 17:00

[HTT26-12] 鳥取砂丘におけるNMR探査とGPRによる帯水層の評価

*小西 千里1青池 邦夫1河合 隆行2黒田 清一郎3 (1.応用地質株式会社、2.鳥取大学、3.農研機構)

キーワード:NMR探査、地中レーダ、地下水、砂丘

鳥取大学乾燥地研究センターにおいて、地下水帯水層の評価を目的にNMR探査とGPRを実施した。NMR探査は、地表に設置したループ状のコイルから地下に高周波パルスを送信し、帯水層内の水の陽子からの応答を得ることで地表から非破壊で地下水帯水層の深度、層厚、および体積含水率を求める手法である。得られる信号強度は磁場に比例するため、地球磁場を用いる地表からのNMR探査の場合、非常に信号強度が小さくなる。そのため、電磁ノイズレベルが高い都市近郊では測定が困難となる場合が多い。鳥取大学の乾燥地研究センターも鳥取市の中心からわずか数㎞に位置しており、ノイズテスターによる電磁ノイズレベルの測定値もそれほど小さくはなかったが、測定可能な範囲内であった。測定配置は、1辺35mの正方形を2つ組み合わせた8の字型とし、同一コイルを用いた送受信により12種類のパルスモーメントを用いたサウンディングを行った。測定時にはノイズの混入が少ない、なるべく良質なデータのみを250個程度取得し、スタッキングにより信号のS/Nの向上を図った。その結果、特定のパルスモーメントでNMR信号の特徴である減衰信号を確認した。得られた結果を順計算によるモデリング結果と比較したところ、深度30m付近に数mの帯水層があると推定された。
GPRは通常は深度数m以浅を対象とする場合が多く、特に地盤が不均質な場合や、粘性土が分布するような場合には探査深度はさらに浅くなる。しかし乾燥地研究センター内の砂丘のように、非常に均質な砂が数10mも分布しているような場合には、探査深度は格段に深くなり、深部の地下水面を検出することも可能となる。今回は,中心周波数が35MHzのアンテナを用いた測線長100mのプロファイル測定を行い、さらにCMP測定により電磁波速度を求めて深度断面を作成した。GPRの深度断面図から、深度29~30m付近に地下水面に対応する反射波が連続してみられた。この地下水位の深度は、周囲に存在する井戸の水位計測結果とも整合していた。
NMR探査の結果からは特定箇所における帯水層の上面深度とおおよその層厚が把握できる。一方、GPRの結果からは、帯水層の上面深度を二次元的に把握できる。両手法を組み合わせることにより、乾燥地域において効率的な帯水層の評価が可能になると考えられる。