14:15 〜 14:30
[MGI31-03] ソーシャルメディアを通した「GISと社会」に関わる情報共有の場の形成: インターネット放送GeoGeoWestでの実践を例に
キーワード:ジオメディア、オンライン放送、オープンデータ、hackpad
1.はじめに
GISの普及に伴い,社会に及ぼす影響への関心(GISと社会)が注目されている.特に,近年は,GISを日頃から活用している研究者だけでなく,市民による情報共有の場も開かれ,2008年から始まったジオメディアサミットを発端に,2010年以降にはソーシャルメディアを活用することでオンライン上でのコミュニケーションを可能とする,”友引Night”などが現れるようになった[1][2].
「GISと社会」を巡る変化の早さはもとより,多様化する話題を網羅すること自体が困難になる一方,こうした社会的関心についてオンラインで参照可能でアーカイブされる場が必要である.そこで本発表では,2015年9月より不定期開催しているGeoGeoWestを紹介し,情報共有の役割について論じる.
2.GeoGeoWestの概要
GeoGeoWestは”友引Night”での実践を参考にしつつ,上記の課題認識を踏まえ,青山学院大学の古橋研究室にて筆者および不定期でゲストにも参加してもらい,2015年度は,下半期の毎週月曜日の夕方に12回,2016年の2回,Youtube LiveとFacebook Liveによるオンライン放送を行っている.GeoGeoWestの名称は,ここ数年,東京多摩西部周辺に空間情報を扱う研究室が増えていることにより.都心部からの物理的距離デメリットを逆手に取って,オンライン放送を通じて遠隔地でも最新の空間情報に関わる話題をキャッチアップできる草の根メディアを意識し命名した.取り上げる話題は,友引Nightと同様に,その時点で注目すべきトピックスや技術的な話題を中心としつつ,可能な限りアーカイブが充実するジオ系のイベントを取り上げた.また,GeoGeoWestは放送自体のアーカイブのみならず,複数人でオンライン編集可能かつ作業履歴を残すことができる”Hackpad”を採用し,番組で紹介した話題のメモや参照すべきURLなどを随時閲覧することも可能にした[3].
また,本番組自体も再利用性を高めるために,動画については原則CC-BY-4.0ライセンスを付与した.各回における主なトピックスは番組のHackpadサイトを参照いただきたいが,オープンソースGISの話題はもちろん,GitHubやIngress, Pokemon Go,また,ここ1〜2年で急速に関心が高まっている無人航空機:UAVの技術・制度的な動向など,位置情報をあらゆる視点で社会的に捉える必要が起こっていることは間違いない.また,ソーシャルメディア的な特性として取り上げる話題に関するコメントはもちろん,Hackpadを参照した上でのさらなるインプットや要望なども,総数は少ないものの視聴者とインタラクションが起こった.
3.おわりに
以上のように,GeoGeoWestは”GISと社会”を巡る多様な動向を,可能な限りその場ですくい取り視聴者に紹介するとともに,HackpadやSNSを通して可能な限りオープン化することによって,再利用可能なアーカイブとして蓄積・継承することに着目して活動を行っている.
こうした方法や考え方は,いわゆるオープンデータ運動とも親和性が高いと考えられる一方で,GeoGeoWestの第14回で取り上げたように,2016年米国政権交代によって生じたオープンデータの消失に対する危惧が現実化[4][5]しており,多様な立場や主体による活動およびデータのアーカイブと再利用性の確保が今後,ますます重要になることは間違いない.
[1] 近藤康久・西村雄一郎(2016) https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2016/subject/MTT29-03/detail?lang=ja
[2] 伊藤昌毅(2013) http://www2.jpgu.org/meeting/2013/session/PDF/M-TT39/MTT39-01.pdf
[3] https://hackpad.com/GeoGeoWest-Furuhashi-Lab-AGU-MNPFV4D7gZ1
[4]Rogue Scientists Race to Save Climate Data from Trump, https://www.wired.com/2017/01/rogue-scientists-race-save-climate-data-trump/
[5] Diehard Coders Just Rescued NASA’s Earth Science Data, https://www.wired.com/2017/02/diehard-coders-just-saved-nasas-earth-science-data/
GISの普及に伴い,社会に及ぼす影響への関心(GISと社会)が注目されている.特に,近年は,GISを日頃から活用している研究者だけでなく,市民による情報共有の場も開かれ,2008年から始まったジオメディアサミットを発端に,2010年以降にはソーシャルメディアを活用することでオンライン上でのコミュニケーションを可能とする,”友引Night”などが現れるようになった[1][2].
「GISと社会」を巡る変化の早さはもとより,多様化する話題を網羅すること自体が困難になる一方,こうした社会的関心についてオンラインで参照可能でアーカイブされる場が必要である.そこで本発表では,2015年9月より不定期開催しているGeoGeoWestを紹介し,情報共有の役割について論じる.
2.GeoGeoWestの概要
GeoGeoWestは”友引Night”での実践を参考にしつつ,上記の課題認識を踏まえ,青山学院大学の古橋研究室にて筆者および不定期でゲストにも参加してもらい,2015年度は,下半期の毎週月曜日の夕方に12回,2016年の2回,Youtube LiveとFacebook Liveによるオンライン放送を行っている.GeoGeoWestの名称は,ここ数年,東京多摩西部周辺に空間情報を扱う研究室が増えていることにより.都心部からの物理的距離デメリットを逆手に取って,オンライン放送を通じて遠隔地でも最新の空間情報に関わる話題をキャッチアップできる草の根メディアを意識し命名した.取り上げる話題は,友引Nightと同様に,その時点で注目すべきトピックスや技術的な話題を中心としつつ,可能な限りアーカイブが充実するジオ系のイベントを取り上げた.また,GeoGeoWestは放送自体のアーカイブのみならず,複数人でオンライン編集可能かつ作業履歴を残すことができる”Hackpad”を採用し,番組で紹介した話題のメモや参照すべきURLなどを随時閲覧することも可能にした[3].
また,本番組自体も再利用性を高めるために,動画については原則CC-BY-4.0ライセンスを付与した.各回における主なトピックスは番組のHackpadサイトを参照いただきたいが,オープンソースGISの話題はもちろん,GitHubやIngress, Pokemon Go,また,ここ1〜2年で急速に関心が高まっている無人航空機:UAVの技術・制度的な動向など,位置情報をあらゆる視点で社会的に捉える必要が起こっていることは間違いない.また,ソーシャルメディア的な特性として取り上げる話題に関するコメントはもちろん,Hackpadを参照した上でのさらなるインプットや要望なども,総数は少ないものの視聴者とインタラクションが起こった.
3.おわりに
以上のように,GeoGeoWestは”GISと社会”を巡る多様な動向を,可能な限りその場ですくい取り視聴者に紹介するとともに,HackpadやSNSを通して可能な限りオープン化することによって,再利用可能なアーカイブとして蓄積・継承することに着目して活動を行っている.
こうした方法や考え方は,いわゆるオープンデータ運動とも親和性が高いと考えられる一方で,GeoGeoWestの第14回で取り上げたように,2016年米国政権交代によって生じたオープンデータの消失に対する危惧が現実化[4][5]しており,多様な立場や主体による活動およびデータのアーカイブと再利用性の確保が今後,ますます重要になることは間違いない.
[1] 近藤康久・西村雄一郎(2016) https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2016/subject/MTT29-03/detail?lang=ja
[2] 伊藤昌毅(2013) http://www2.jpgu.org/meeting/2013/session/PDF/M-TT39/MTT39-01.pdf
[3] https://hackpad.com/GeoGeoWest-Furuhashi-Lab-AGU-MNPFV4D7gZ1
[4]Rogue Scientists Race to Save Climate Data from Trump, https://www.wired.com/2017/01/rogue-scientists-race-save-climate-data-trump/
[5] Diehard Coders Just Rescued NASA’s Earth Science Data, https://www.wired.com/2017/02/diehard-coders-just-saved-nasas-earth-science-data/