[M-IS09] [EJ] 津波堆積物

[MIS09-11] ロシア沿海州における津波の挙動と堆積物形成の数値解析

*菅原 大助¹、西村 裕一²、高清水 康博³、Razjigaeva Nadezhda⁴、Ganzey Larisa⁴、Lebedev Ilya^5,4、Borisov Ruslan^5,4 (1.ふじのくに地球環境史ミュージアム、2.北海道大学大学院理学研究院、3.新潟大学教育学部、4.ロシア科学アカデミー、5.ロシア極東大学)

キーワード：津波、沿海州、日本海、堆積物、数値解析

本発表では，日本海東縁の地震によるロシア沿海州での津波の特性と既知のイベント堆積物との関係を，数値解析に基づき予察的に検討する．
1993年北海道南西沖地震をはじめとする日本海東縁の地震による津波は，北海道から東北の各地に被害をもたらしてきた．古文書や津波堆積物調査に基づく地震・津波のリスク評価が必要となっている．津波堆積物については，海岸平野の分布が限られること，大規模砂丘の発達や近世以降の地形改変により，調査の適地は太平洋側よりも少ない．現状では，地震・津波の頻度や規模に関する地質学的データは十分に集まっていない．
日本海東縁で発生した津波は対岸のロシア沿海州に達する．例えば，ウラジオストク周辺では，1993年北海道南西沖地震に際して津波高5 mが記録されている．沿海州では日露共同で地質学的調査が行われ，いくつかの地点で津波起源と考えられるイベント堆積物が検出されている（Ganzey et al., 2015）．
これまでに発見された沿海州の津波堆積物と津波波源との対応関係は分かっていない．本研究では，日本海東縁の津波波源と沿海州での波高・周期など津波特性との関係について数値解析を行う．現地測量による海岸地形を考慮した土砂移動解析を行い，津波堆積物形成の可能性を検討する．

文献
Ganzey, L. A., Razjigaeva, N. G., Nishimura, Y., Grebennikova, T. A., Kaistrenko, V. M., Gorbunov., A. O., Arslanov, K. A., Chernov, S. B. and Naumov, Y. A., 2015, Deposits of Historical and Paleotsunamis on the Coast of Eastern Primorye. Russian Journal of Pacific Geology, 9, 64-79.