[MIS09-P14] 北海道大樹町ホロカヤントウの砂州上に形成された高潮堆積物の特徴
キーワード:ホロカヤントウ、高潮体積物、珪藻群集
北海道東部太平洋沿岸には,海域側が砂州により閉じられることで形成した汽水湖が複数ある.ホロカヤントウはこれら汽水湖の一つである.ホロカヤントウと海を隔てる砂州は標高5.7 mほどあり,陸域側(湖側)の表層には土壌が形成され,塩性植物群落が被覆している.2016年6月の調査において,この土壌由来と思われる塊状の堆積物及び,土壌と枯死しかかった植生を覆い,複雑な舌状の分布を示す砂質堆積物が砂州のリッジに沿って観察された.この砂質堆積物は海浜砂と似た構成物からなり,海域側から陸域側に向かって薄層化及び細粒化した.また,この砂質堆積物中の珪藻群集はThalassiosira cf. nanolineataやThalassionema sp.などの海生種に加えて,土壌由来と考えられるPinnularia borealisなどの淡水生種も含まれており,珪藻殻数は内陸へ向かって増加した.これらの傾向は,高潮堆積物が海浜と土壌を侵食して内陸へ粗粒物を運搬したこと及び珪藻を含む細粒物が流れの減速により内陸側で多く堆積したことを示唆している.全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)の十勝港における波浪データを参照した結果,この砂質堆積物が2016年1月17日から19日にかけて太平洋で発達した巨大低気圧に伴う高潮により形成された可能性が高いことがわかった.