11:45 〜 12:00
[MZZ42-11] 宇宙探査を巡る政策的問題に対する政治哲学からの貢献
キーワード:宇宙探査、宇宙政策、政治哲学、宇宙倫理学
宇宙探査(特に有人宇宙探査)は莫大なリソースを要するため、それを公的事業として推進することの意義と正当性を巡って、しばしば議論がなされている。そうした議論においては、有人プログラムの費用対効果から巨大科学の価値、宇宙進出の人類史的意義まで、多様な論点が提示されている。これらの論点が宇宙探査への公的投資の正当性とどのように関係しうるかは、政治哲学に属する問題であり、特に「分配的正義」(すなわちリソース配分の適切さ)の理論に依存する。しかし上述の議論では、政治哲学の理論が参照されることはこれまでほとんどなかった。本発表では、政治哲学における分配的正義の理論を参照することで、宇宙探査への公的投資の正当性という政策的問題に関してどのような知見が与えられるかを論じる。特に、リソース配分において個人の自由を尊重することを説く「リベラリズム」の立場から、どんな種類の論拠が宇宙探査に対する公的投資を正当化しうるか、を明らかにしたい。