JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] 高校生によるポスター発表

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

13:45 〜 15:15

[O05-P47] 新宿区立おとめ山公園湧水とその周辺地下水の涵養域

*鈴木 泰我1 (1.海城高等学校)

東京都新宿区北西部の下落合にあるおとめ山公園には湧水が存在している。都市部に残存している貴重な湧水である。本校地学部では、この湧水と付近の井戸において、およそ7年にわたりそれぞれ湧出量と地下水位を計測し、調査・研究を行ってきた。
 これまでの研究では、タンクモデルを用いた地下水位予測と、この湧水の涵養域の推定を行っている。しかし、これは「涵養域」を「(タンクモデルにおいて)地下水位の変動をもっともよく再現する降水量をもつ地域」と定義して求めたものであり、涵養域として、地下水位の変動という点においては整合的であるものの、量的な問題や、地形・地質においては未検証な部分が存在する。そこで今回は、地形・地質についてより詳細に検討し、涵養域の再検討を試みた。
 これまでの研究で推定している涵養域は、おとめ山公園の湧水より北の半径3km以内、約10km²にわたって広がっている。推定した涵養域の地形を検証したところ、北東部に谷が存在し、おとめ山公園との間は地形的な高まりがあるため、涵養域である可能性は低い。南西部の台地が主な涵養域と推定される。この地域の地質は、上位から透水層の武蔵野ローム層、難透水層の下末吉ローム層、透水層の武蔵野礫層、不透水層の東京層となっている。おとめ山公園の湧水は、湧出口の標高から武蔵野礫層を帯水層としていて、井戸の地下水位が武蔵野礫層よりも高い位置にあることから被圧地下水であると考えられる。東京都土木技術支援・人材育成センターによるボーリングデータから地質断面図を作成したところ、地表の地形と帯水層の勾配が類似していることが確認できた。これは、武蔵野台地の地下水面は、地表の地形に近似できるという先行研究の報告とは矛盾しないため、地質と地形の分析結果は整合的である。これらを総合すると、やはり標高が低い北東部からの流入はほぼなく、南西部の台地で涵養した地下水が北東から南にかけて流れ、そのうちの一部がおとめ山湧水に流れ込んでいると推定される。