13:45 〜 15:15
[O05-P65] 江南市の大気観測及びそのデータの分析
キーワード:気象、環境、大気汚染
はじめに
近年、PM2.5などによる大気汚染と視程の悪化がニュースで取り上げられることが多くなった。そこで、平成26年度より「大気汚染と視程の関係」について研究を進めてきた。その一環として、平成28年8月から本校の屋上に機材を設置し、PM2.5やPM10などの大気汚染物質、気象データなどの観測を連続的に行い、データ分析をしている。
分析方法
我々は、PM2.5と各気象要素との間に何かしらの関係性があるのではないかと考えた。そこでまず、PM2.5の値と各気象要素の値から、散布図を作成し、相関係数を求めた(以下、これらをあわせて相関分析と記載)。次に、データの周期を求められるフーリエ解析と、データの予測値の式を他の要素を使って求められる重回帰分析を行った。
分析に用いたデータは全て本校で観測されたもので、PM2.5[μg/m3]や各種気象要素(平均風速[m/s]、最大風速[m/s]、風向、積算降雨量[mm]、気温[℃]、湿度[%]、気圧[hPa])の平成28年8月22日13時~平成29年1月14日23時のもので、すべて1分あたりの値を1時間あたりの平均値としたものである。
(ただし、次の期間はデータが欠損していた。8月31日0時~9月23日15時、10月14日8時~10月21日14時)
分析結果
①相関分析
相関分析の結果、相関係数は表1のようになった。結果、風速との相関が最も大きいことがわかった。なお、図1はPM2.5と平均風速の散布図である。以上より、PM2.5は風の影響を受けているのではないかと予測した。
②フーリエ解析
フーリエ解析の結果、PM2.5・風速(平均風速)・気温・湿度が24時間周期であることがわかった(図2はPM2.5の結果)。次に、図3のようにPM2.5と平均風速の生データをグラフ化したところ、24時間周期は実際に確認することができ、相関分析で見たものと同様に、風が強いときにPM2.5が小さくなるという関係性が見られた。
③重回帰分析
重回帰分析の結果、平均風速・気圧・気温・湿度・風向(南北・東西に分けたもの)を要素としたPM2.5の予測値のグラフは図4のようになった。このグラフが実測値のグラフと形が似ていることから、この予測値の信憑性は高いといえる。この予測値の重要度は表2のようになった。
結論
フーリエ解析により、PM2.5と風速に24時間での周期性があり、重回帰分析により、PM2.5が風速の影響を受けていることがわかった。
一方、重回帰分析において、同じ周期の要素が多数あることから、何が本当に影響を与えているかが分からなかった。
おわりに
以上より、PM2.5は風の影響を受けており、風速が大きくなるとPM2.5は値が小さくなる。
今回の分析で、各データの定常的な日変化を見ることができた。今後はデータ数を増やすなどして、この予測値を生データから取り除くことにより気象要素によらない純粋な大気汚染物質の増減を監視したい。重回帰分析において、要素を適正にすることで、より精度の高い予測値を立て、正しいPM2.5の変化の影響元を探したい。
近年、PM2.5などによる大気汚染と視程の悪化がニュースで取り上げられることが多くなった。そこで、平成26年度より「大気汚染と視程の関係」について研究を進めてきた。その一環として、平成28年8月から本校の屋上に機材を設置し、PM2.5やPM10などの大気汚染物質、気象データなどの観測を連続的に行い、データ分析をしている。
分析方法
我々は、PM2.5と各気象要素との間に何かしらの関係性があるのではないかと考えた。そこでまず、PM2.5の値と各気象要素の値から、散布図を作成し、相関係数を求めた(以下、これらをあわせて相関分析と記載)。次に、データの周期を求められるフーリエ解析と、データの予測値の式を他の要素を使って求められる重回帰分析を行った。
分析に用いたデータは全て本校で観測されたもので、PM2.5[μg/m3]や各種気象要素(平均風速[m/s]、最大風速[m/s]、風向、積算降雨量[mm]、気温[℃]、湿度[%]、気圧[hPa])の平成28年8月22日13時~平成29年1月14日23時のもので、すべて1分あたりの値を1時間あたりの平均値としたものである。
(ただし、次の期間はデータが欠損していた。8月31日0時~9月23日15時、10月14日8時~10月21日14時)
分析結果
①相関分析
相関分析の結果、相関係数は表1のようになった。結果、風速との相関が最も大きいことがわかった。なお、図1はPM2.5と平均風速の散布図である。以上より、PM2.5は風の影響を受けているのではないかと予測した。
②フーリエ解析
フーリエ解析の結果、PM2.5・風速(平均風速)・気温・湿度が24時間周期であることがわかった(図2はPM2.5の結果)。次に、図3のようにPM2.5と平均風速の生データをグラフ化したところ、24時間周期は実際に確認することができ、相関分析で見たものと同様に、風が強いときにPM2.5が小さくなるという関係性が見られた。
③重回帰分析
重回帰分析の結果、平均風速・気圧・気温・湿度・風向(南北・東西に分けたもの)を要素としたPM2.5の予測値のグラフは図4のようになった。このグラフが実測値のグラフと形が似ていることから、この予測値の信憑性は高いといえる。この予測値の重要度は表2のようになった。
結論
フーリエ解析により、PM2.5と風速に24時間での周期性があり、重回帰分析により、PM2.5が風速の影響を受けていることがわかった。
一方、重回帰分析において、同じ周期の要素が多数あることから、何が本当に影響を与えているかが分からなかった。
おわりに
以上より、PM2.5は風の影響を受けており、風速が大きくなるとPM2.5は値が小さくなる。
今回の分析で、各データの定常的な日変化を見ることができた。今後はデータ数を増やすなどして、この予測値を生データから取り除くことにより気象要素によらない純粋な大気汚染物質の増減を監視したい。重回帰分析において、要素を適正にすることで、より精度の高い予測値を立て、正しいPM2.5の変化の影響元を探したい。