JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM16] [EE] Physics of Inner Magnetosphere Coupling

2017年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 A02 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:Danny Summers(Memorial University of Newfoundland)、Jichun Zhang(University of New Hampshire Main Campus)、海老原 祐輔(京都大学生存圏研究所)、桂華 邦裕(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、Aleksandr Y Ukhorskiy(Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory)、Dae-Young Lee(Chungbuk Natl Univ)、Yiqun Yu(Beihang University)、三好 由純(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:海老原 祐輔(京都大学生存圏研究所)

12:00 〜 12:15

[PEM16-06] 巨大磁気嵐時スロット領域に注入された外帯電子のその場加速と第3放射線帯の形成

*小原 隆博1 (1.東北大学 惑星プラズマ大気研究センター)

キーワード:New radiation belt, Slot region, Electron acceleration

大磁気嵐に於いて,スロット領域に外帯に存在していた電子が注入される事が遷移軌道の衛星観測によって観測されている(Obara and Matsumoto,2016 他). そして非常にしばしば, 第3放射線が形成される事も明らかになっている(Baker et al., 2013).

我々は, スロット領域に注入された電子の, その後の消長について, 特に第3放射線帯の形成に注目し, これまでの大磁気嵐時の衛星データを総合的に解析した.我々が明らかにしたい内容は, (1)スロット領域に注入された電子は,その場で更なる加速 (local acceleration )を受けるのか? (2)加速されるとした場合,加速の原因は何か? (3)また,加速を受ける期間はどのように決まるのか?であり, (4)第3放射線帯の形成には,更にどのようなプロセスが働いているのか?についても考察する課題とした.

今回, 2つのイベント(1991 March 24-thイベントと2000 July 14-thイベント)について解析した.その結果, 電子は,更にその場で加速(local acceleration)を受けていた事が明らかになった. 強いVLF波動が発生していた事から,VLF波動が電子を加速したものと思われる.また, 解析した2つのイベントのどちらにも, L~3付近に 第3放射線が形成され, 2週間程度存在していた. その際,通常の外帯がL~4に生成されたので, 放射線帯は3重構造を持つことになったと考えられる.

本研究は, Baker et al. (Science, 2013)を追認するが, 第3放射線帯でのその場加速を見出した点が新しいポイントで, VLF波動による電子加速が,L~3という非常に地球に近い領域でも起こっている事を確認した事になる.