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[PPS09-10] Bus-DeMeo分類と物理観測から推定される小惑星表層組成: C,Cb,B型小惑星表層における水氷の存在の可能性
キーワード:小惑星、隕石
C型小惑星は小惑星の大半を占めていることが知られており(e.g., Usui et al. 2013 ApJ 726, 56)、炭素質コンドライトの母天体であると一般的に考えられている(e.g., Burbine 2008, Rev. Mineral. Geochem. 68, 273)。但し、地球に落ちてくる炭素質コンドライトと小惑星帯のC型小惑星の存在比率は等しいわけではない。これは地球まで隕石を運ぶためのメカニズム(共鳴の強さ、ヤルコフスキー効果の効き方)の小惑星位置での依存性、地球に突入してくる時に小惑星の強度(強度の弱いものは地球突入時に壊れて隕石として生き残れない)等が効いているからである。
小惑星表層の分類は可視光の波長を使って行われていた(e.g., Tholen 1984, PhD thesis, Univ. Arizona; Bus & Binzel 2002, Icarus 158,146)が、近年の赤外線観測技術の発展により、近赤外波長域の観測が盛んになった背景があり、可視光に加えて近赤外まで拡張したBus-DeMeo分類法が提案されている(DeMeo et al. 2009, Icarus 202, 160)。近赤外線まで適応範囲を拡張したことにより、特に、可視光でfeature-lessだったものが、明瞭に分類できるようになった。
小惑星の物理観測は可視・近赤外線の分光観測以外でも実施されている。Bus-DeMeo分類法とその他の物理観測結果情報を加えることによって、小惑星表層の物理情報を引き出すことができると考えられる。情報の組み合わせによって、小惑星帯の小惑星の組成について新たに制約を引き出すことが本研究の目的である。
本研究ではまず、過去に論文として出版されているあるいは公開済みのデータを集め、Bus-DeMeo分類法に基づき再編し、我々自身の観測結果(岡山天体物理観測所で実施)を加えたデータベースを作成した。
まとめたBus-DeMeo分類データにアルベド観測(AKARI,WISE,IRAS衛星等のデータ)・紫外線観測(Tedesco et al. 1989, AJ 97,580等のデータ)・偏光観測(Cellino et al. 2016, MNRAS 455,2091等のデータ)・レーダー観測(Neese et al. 2012, NASA PDS)等のデータを加えて、情報の引き出しを行った。
紫外線のデータからは、Ch,Cgh型小惑星とC,Cb,B型小惑星の傾向が異なること、X_low(X,Xc,Xkでアルベドが0.1以下のもの)はC,Cb,B型小惑星と似た傾向にあることが分かった。偏光観測からは偏光度の反転角度が低いものがC,Cb,D型小惑星であることが分かった。更にレーダー観測からはOCレーダーアルベドでCh/Cgh型小惑星とC,Cb,B型小惑星を比較するとその一部にレーダーアルベドが低いものが存在しているものがあることが分かった。
偏向角が小さく表層には水氷が存在している可能性が指摘されており(Steigmann 1993, Observatory 113, 70)、OCレーダーアルベドが低い場合には密度の低い物質可能性が指摘されている(Harmon et al. 2004, in Comet II, 211)。このことから、表層近くにに水氷の存在の可能性があることが期待される。
C型小惑星について近年新しい見解が提案されている(Vernazza et al. 2015, ApJ 806, 204)。Ch,Cgh型の小惑星の表層組成はCMコンドライトに代表されている水質変性を受けたコンドライト隕石であるが、B,C,Cb,Cg型の小惑星の表層組成は隕石には存在していなく、寧ろ、地球上層大気で採取された惑星間塵のうち無水で輝石が豊富な粒子に近くという説である。B,C,Cb,Cg型にの表層下には水氷と無水含水鉱物が存在しているとも提案されている(Vernazza et al. 2017, AJ 153, 72)。我々の研究結果はこのVernazzaの説に矛盾しない結果になっている。
小惑星表層の分類は可視光の波長を使って行われていた(e.g., Tholen 1984, PhD thesis, Univ. Arizona; Bus & Binzel 2002, Icarus 158,146)が、近年の赤外線観測技術の発展により、近赤外波長域の観測が盛んになった背景があり、可視光に加えて近赤外まで拡張したBus-DeMeo分類法が提案されている(DeMeo et al. 2009, Icarus 202, 160)。近赤外線まで適応範囲を拡張したことにより、特に、可視光でfeature-lessだったものが、明瞭に分類できるようになった。
小惑星の物理観測は可視・近赤外線の分光観測以外でも実施されている。Bus-DeMeo分類法とその他の物理観測結果情報を加えることによって、小惑星表層の物理情報を引き出すことができると考えられる。情報の組み合わせによって、小惑星帯の小惑星の組成について新たに制約を引き出すことが本研究の目的である。
本研究ではまず、過去に論文として出版されているあるいは公開済みのデータを集め、Bus-DeMeo分類法に基づき再編し、我々自身の観測結果(岡山天体物理観測所で実施)を加えたデータベースを作成した。
まとめたBus-DeMeo分類データにアルベド観測(AKARI,WISE,IRAS衛星等のデータ)・紫外線観測(Tedesco et al. 1989, AJ 97,580等のデータ)・偏光観測(Cellino et al. 2016, MNRAS 455,2091等のデータ)・レーダー観測(Neese et al. 2012, NASA PDS)等のデータを加えて、情報の引き出しを行った。
紫外線のデータからは、Ch,Cgh型小惑星とC,Cb,B型小惑星の傾向が異なること、X_low(X,Xc,Xkでアルベドが0.1以下のもの)はC,Cb,B型小惑星と似た傾向にあることが分かった。偏光観測からは偏光度の反転角度が低いものがC,Cb,D型小惑星であることが分かった。更にレーダー観測からはOCレーダーアルベドでCh/Cgh型小惑星とC,Cb,B型小惑星を比較するとその一部にレーダーアルベドが低いものが存在しているものがあることが分かった。
偏向角が小さく表層には水氷が存在している可能性が指摘されており(Steigmann 1993, Observatory 113, 70)、OCレーダーアルベドが低い場合には密度の低い物質可能性が指摘されている(Harmon et al. 2004, in Comet II, 211)。このことから、表層近くにに水氷の存在の可能性があることが期待される。
C型小惑星について近年新しい見解が提案されている(Vernazza et al. 2015, ApJ 806, 204)。Ch,Cgh型の小惑星の表層組成はCMコンドライトに代表されている水質変性を受けたコンドライト隕石であるが、B,C,Cb,Cg型の小惑星の表層組成は隕石には存在していなく、寧ろ、地球上層大気で採取された惑星間塵のうち無水で輝石が豊富な粒子に近くという説である。B,C,Cb,Cg型にの表層下には水氷と無水含水鉱物が存在しているとも提案されている(Vernazza et al. 2017, AJ 153, 72)。我々の研究結果はこのVernazzaの説に矛盾しない結果になっている。