[SCG71-P15] 琉球大学農学部亜熱帯フィールド科学教育研究センター与那フィールドにおける地磁気3成分連続観測
キーワード:陸上地磁気連続観測、海上地磁気データの補正
琉球大学は国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と、共同研究「亜熱帯域の地磁気変動計測及びその利活用に関する研究開発」を実施し、琉球大学農学部亜熱帯フィールド科学教育研究センター与那フィールド(沖縄県国頭郡国頭村、北緯26.76度、東経128.22度、標高12m)で、地磁気3成分の連続観測を行っている。NICTの本研究の目的は、太陽活動などの宇宙環境変動予測に活用することであるが、琉球大学ではこれまでに沖縄近海での船上地磁気観測を実施し、また、他機関(海洋研究開発機構、海上保安庁海洋情報部など)も同海域での地磁気観測を行っていることから、陸上連続観測の結果を船上地磁気観測と比較し、必要に応じてこれを較正することを目指している。観測項目は、水平成分、偏角、鉛直成分であり、1分毎の観測データ(正分の30秒前から29秒後までの平均値)が記録されている。現在のところ、1996年4月から2011年10月までのデータが蓄積されている(但し途中欠測期間あり)。その後、2016年に観測装置を更新し、観測を再開した。
我が国では多くの観測船で、プロトン磁力計による全磁力観測の他、3成分観測も実施している。そのため、陸上での3成分地磁気連続観測の成果は、これら海上での3成分簡素校データと対比することにより、成分毎の観測値についての必要な補正にも役立てることができる。
現在までのところ、2011年のデータについて、試行解析を行った。地磁気全磁力のグラフでは、平常時は振幅30nT程度の日周変動が卓越しているように見えるが、この年の2月4日・18日頃、3月1日・10日・28日頃など、太陽黒点の多い時期(国立天文台による白色光全面観測に基づく黒点相対数)は100nT程度の変動を生じている。このような大きい変動が全く見られない月がある一方、多い時は3回発生する月も見られる。また、より長期のデータでは、ほぼ1ヶ月周期での20~50nT程度の鋸状の変動が見られる。同じく2011年の全磁力データをもとに、スペクトルを求めたところ、15日、5日、2日、1.3日、1日に相当する周期にスペクトルのピークが見られた。
国土地理院も日本全国14箇所の観測所で地磁気3成分連続観測を行っており、沖縄にも観測点がある。地点は北緯26.630度、東経128.127度、標高140mの東村伊是名地区である。両観測点で共にデータの揃っている1999年の同時期の記録について相関を求めたところ、ほぼ正の相関が見られた。しかしながら、NICTの方が相対的に値が120nT程度小さく、変化分は国土地理院と比べて約1.3倍となっている。
我が国では多くの観測船で、プロトン磁力計による全磁力観測の他、3成分観測も実施している。そのため、陸上での3成分地磁気連続観測の成果は、これら海上での3成分簡素校データと対比することにより、成分毎の観測値についての必要な補正にも役立てることができる。
現在までのところ、2011年のデータについて、試行解析を行った。地磁気全磁力のグラフでは、平常時は振幅30nT程度の日周変動が卓越しているように見えるが、この年の2月4日・18日頃、3月1日・10日・28日頃など、太陽黒点の多い時期(国立天文台による白色光全面観測に基づく黒点相対数)は100nT程度の変動を生じている。このような大きい変動が全く見られない月がある一方、多い時は3回発生する月も見られる。また、より長期のデータでは、ほぼ1ヶ月周期での20~50nT程度の鋸状の変動が見られる。同じく2011年の全磁力データをもとに、スペクトルを求めたところ、15日、5日、2日、1.3日、1日に相当する周期にスペクトルのピークが見られた。
国土地理院も日本全国14箇所の観測所で地磁気3成分連続観測を行っており、沖縄にも観測点がある。地点は北緯26.630度、東経128.127度、標高140mの東村伊是名地区である。両観測点で共にデータの揃っている1999年の同時期の記録について相関を求めたところ、ほぼ正の相関が見られた。しかしながら、NICTの方が相対的に値が120nT程度小さく、変化分は国土地理院と比べて約1.3倍となっている。