JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT22] [EE] 核-マントルの相互作用と共進化

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、寺崎 英紀(大阪大学大学院理学研究科)、Satish-Kumar Madhusoodhan(Department of Geology, Faculty of Science, Niigata University)、入舩 徹男(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、Hernlund John(Earth-Life Science Institute, Tokyo Institute of Technology)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)

[SIT22-P09] U, Th concentrations of Japanese rocks for geo-neutrino modeling

*上木 賢太1Project Team KamLAND Simulation (1.東京大学地震研究所附属高エネルギー素粒子地球物理学研究センター)

キーワード:Arc crust, Geo neutrino, radiogenic elements

KamLANDで得られる世界最高精度の地球ニュートリノデータを用いて、核-マントル中に含まれる放射性元素の量を世界最高精度で決定することを目標として、我々は地震波速度構造や地質学的情報を用いた島弧地殻の岩相モデリングを行っている。地震波速度構造から得られた岩相分布の結果を用いて日本島弧地殻のウラン・トリウム濃度を推定するために、一万点以上のデータ数、約100の論文や報告書のデータからなる、日本列島を構成する岩石の化学組成(一部主要元素及びウラン・トリウム濃度)のデータベースを構築した。さらに、特にデータ数が少ない日本列島下部地殻起源の岩石に関して、捕獲岩のサンプリングや分析を行った。データベースを用いてモデル化された日本列島を構成する各種の岩石のウラン・トリウム濃度を用いることで、日本島弧地殻ウラン・トリウム濃度の推定、ひいては地殻由来のニュートリノフラックスのより現実的な推定が可能となる。
 日本列島を構成する岩石のU-Th含有量のバリエーションは、溶融や結晶分化などのメルトプロセス、海洋底での変質によるウラン付加、地表でのウラン喪失で説明できる。また、特に下部地殻に相当する岩石は大陸地殻での推定よりもやや枯渇したものとなった。
 コンパイルされた組成データを用いて、化学組成分布、そしてニュートリノフラックスを計算するために、確率分布への当てはめを行った。地球化学での先行研究では、対数正規分布や正規分布が広く使用されてきたが、本研究では新たにガンマ分布を用いた。数学的にも有利な点が多いほか、標本の平均を正確に再現することが出来る、マイナスの値を持たない、対称及び非対称両方の分布に対応可能であるという利点がある。また、ガンマ分布は化学組成のモデル化に適用されている実績がある。確率密度関数化された岩種毎の組成分布を使用することで、より現実的な日本列島島弧地殻の組成分布やニュートリノフラックスの計算が可能となった。