JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP43] [JJ] 脆性延性境界と超臨界地殻流体:島弧地殻エネルギー

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 202 (国際会議場 2F)

コンビーナ:土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)、浅沼 宏(産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター)、小川 康雄(東京工業大学理学院火山流体研究センター)、座長:浅沼 宏(産業技術総合研究所・再生可能エネルギー研究センター)、座長:土屋 範芳(東北大学大学院環境科学研究科環境科学専攻)

15:45 〜 16:00

[SMP43-08] 有馬型熱水と水質がよく似た起源の異なる温泉─兵庫県の吉川温泉

*大沢 信二1網田 和宏2 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設(別府)、2.秋田大学大学院工学資源学研究科附属理工学研究センター)

キーワード:吉川温泉、有馬型熱水、水質、同位体的性質

有馬温泉の北西15kmほどに位置する吉川(よかわ)温泉の地下に賦存される流体は,水質とガス組成に見られる特徴(CO2に富むNa-Cl型高塩分)から,一見すると有馬型熱水と同じ起源を有するように思えるが,水の同位体組成やHe同位体組成などが有馬型熱水のそれとは異なる.同位体を用いた付随ガスのCO2 やHeの起源の推定結果は,これら温泉ガス成分の供給源が地殻より深いところにはなく,吉川温泉は有馬温泉に代表されるようなプレート脱水流体に由来する温泉ではないことを示唆している.これは,CO2 に富んだNa-Cl組成の高塩分温泉水であってもプレー ト脱水流体とは無関係であるものが存在することを示し,主要化学組成(水質)の類似性だけによって地質学的研究から見た地下深部流体と温泉とを結びつける行為に警鐘を鳴らす情報であると考える.