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[SSS10-08] 東北地方太平洋沖地震前後の跡津川断層周辺における地殻変動の時間変化
キーワード:東北地方太平洋沖地震、GPS、非弾性歪
2011年3月11日、Mw9.0の東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震と呼ぶ)が発生した。歪集中帯や活断層のM9クラスの地震に対する応答を、密に配置されたGPSの観測データを用いて調べた例はほとんどなく、東北沖地震が初めての機会である。本発表では、新潟神戸歪集中帯(Sagiya et al., 2000)の一部である跡津川断層周辺について、東北沖地震前・地震時・地震後の地殻変動をGPSデータから計算し、互いに比較した結果を報告する。
解析には国土地理院のGEONETに加えて、大学が設置した観測点も用いた。地震前については時系列解析により年周・半年周変動を除去し、定常速度場を求めた。地震後については2014年11月25日から2016年7月2日を切り出し、地震前と同じ手法で定常速度場を求めた。地震時については2011年3月5日~10日および2011年3月12日~17日それぞれ5日間の座標平均を計算し、それらの差から変位を求めた。これらの変位・速度からShen et al (1996)の手法を用いて歪速度場(地震時変動については歪場)を求めた。
東北沖地震前後の歪速度場と地震時の歪場は空間パターンが全く異なるものとなった。地震時の歪は弾性歪であり、その空間変化は弾性歪の不均質に起因する。従って、これと異なる地震前・地震後の歪は非弾性歪であると結論づけられる。一方、対象地域全体としては東北沖地震前と地震後で歪速度のパターンは良く似ている。このことは、非弾性歪(粘性流動など)が絶対差応力によって駆動されることにより説明できる。すなわち、長い時間スケールのプレート間相互作用により蓄積された絶対応力は東北沖地震に伴う応力変化よりもはるかに大きいために、地震前と地震後で歪速度が大きく変化しなかったと考えられる。この成果は、新潟地域について同様の解析を行った先行研究(Meneses-Gutierrez and Sagiya, 2016)と調和的である。
東北沖地震前後の歪速度場の特長としては、跡津川断層両端の火山地帯と跡津川断層上で歪速度が大きくなっていることが挙げられる。前者では高温による粘性流動、後者では断層深部の断層すべりの進行が期待される。つまり、跡津川断層の周囲では場所によって異なるメカニズムの非弾性歪が進行していると考えられる。
また、詳しくみると東北沖地震前後で、飛騨山脈南部や御嶽山の東側などで局地的に歪速度のセンスが逆転していることが分かった。これらの地域では地下の温度が高いことが知られており、また群発地震も頻発しているため、歪速度の時間変化は火山性の地殻変動に起因している可能性もある。
今回得られた結果には東北沖地震の余効変動の効果が含まれているため、地震前後の非弾性歪速度を定量的に比較できていない。東北沖地震の断層モデルを用いてこの効果を取り除く予定である。
解析には国土地理院のGEONETに加えて、大学が設置した観測点も用いた。地震前については時系列解析により年周・半年周変動を除去し、定常速度場を求めた。地震後については2014年11月25日から2016年7月2日を切り出し、地震前と同じ手法で定常速度場を求めた。地震時については2011年3月5日~10日および2011年3月12日~17日それぞれ5日間の座標平均を計算し、それらの差から変位を求めた。これらの変位・速度からShen et al (1996)の手法を用いて歪速度場(地震時変動については歪場)を求めた。
東北沖地震前後の歪速度場と地震時の歪場は空間パターンが全く異なるものとなった。地震時の歪は弾性歪であり、その空間変化は弾性歪の不均質に起因する。従って、これと異なる地震前・地震後の歪は非弾性歪であると結論づけられる。一方、対象地域全体としては東北沖地震前と地震後で歪速度のパターンは良く似ている。このことは、非弾性歪(粘性流動など)が絶対差応力によって駆動されることにより説明できる。すなわち、長い時間スケールのプレート間相互作用により蓄積された絶対応力は東北沖地震に伴う応力変化よりもはるかに大きいために、地震前と地震後で歪速度が大きく変化しなかったと考えられる。この成果は、新潟地域について同様の解析を行った先行研究(Meneses-Gutierrez and Sagiya, 2016)と調和的である。
東北沖地震前後の歪速度場の特長としては、跡津川断層両端の火山地帯と跡津川断層上で歪速度が大きくなっていることが挙げられる。前者では高温による粘性流動、後者では断層深部の断層すべりの進行が期待される。つまり、跡津川断層の周囲では場所によって異なるメカニズムの非弾性歪が進行していると考えられる。
また、詳しくみると東北沖地震前後で、飛騨山脈南部や御嶽山の東側などで局地的に歪速度のセンスが逆転していることが分かった。これらの地域では地下の温度が高いことが知られており、また群発地震も頻発しているため、歪速度の時間変化は火山性の地殻変動に起因している可能性もある。
今回得られた結果には東北沖地震の余効変動の効果が含まれているため、地震前後の非弾性歪速度を定量的に比較できていない。東北沖地震の断層モデルを用いてこの効果を取り除く予定である。