11:45 〜 12:00
[SSS12-17] 山崎断層帯主部南東部の地下比抵抗構造
キーワード:山崎断層帯、活断層、地磁気地電流法、比抵抗構造
岡山県東部から兵庫県西南部にのびる山崎断層帯は,北から那岐山断層帯,山崎断層帯主部,草谷断層の3つの起震断層に区分される活断層帯である.このうち,山崎断層帯主部は,最新活動時期と平均変位速度の違いから,大原断層,土万断層,安富断層,暮坂峠断層からなる北西部と,琵琶甲断層および三木断層からなる南東部に区分される(地震調査研究推進本部地震調査委員会,2013).このうち琵琶甲断層は西側のトレースA(琵琶甲断層Aと呼ぶ)と東側のトレースB(琵琶甲断層Bと呼ぶ)からなる(岡田・東郷,2000).
山崎断層帯主部では,断層セグメント個々の地下構造やそれらが互いにどのように連続しているかを明らかにすることを目的として,Audio-frequency Magnetotelluric(AMT)法探査が展開されている(e.g. Yamaguchi et al., 2010).ここでAMT法とは,地磁気地電流法の一種で,比較的高い周波数(数Hz~約10kHz)の電磁場変動を信号源とするので,地下浅部を,高い空間分解能で描出できる手法である.これまでに主部北西部では7測線,81観測点で行われているが,南東部では琵琶甲断層Aと三木断層の2測線,29観測点で行われているのみであり,南東部全体の構造を明らかにするには十分とは言えない.そこで,琵琶甲断層Aと三木断層の中間に位置する琵琶甲断層Bとほぼ直交する測線に沿う観測を新たに展開し琵琶甲断層Bの地下比抵抗構造モデル(BWK_Bモデルと呼ぶ)を求めた.また,三木断層を横切る測線で得られたデータ(勝村,2016)を再解析し,新たに三木断層の地下比抵抗構造モデル(MIKIモデルと呼ぶ)を求めた.
本発表では,これら2測線の比抵抗モデルの特徴をそれぞれ述べる.次に,琵琶甲断層Aを横切る2次元比抵抗断面(伊東ほか,2015)の比抵抗モデル(BWK_Aモデル)も加え,南東部全体の地下比抵抗構造の特徴を説明する.これらモデルの考察にあたっては,地質構造,重力異常,反射法地震探査などの結果も取り入れ,山崎断層系主部南東部の地下構造について発表する.
観測および解析の詳細は次に記す.
観測
琵琶甲断層Bと直交する長さ6kmの測線(B測線)を設定し,2015年2月21~26日に測線北部の12点で,2016年3月1~6日には測線南部の12点の合計24観測点で電場水平2成分(南北・東西)および磁場3成分(南北・東西・上下)の測定を行った.また,データ解析にRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いるために,北端の観測点から北北西に約18km離れ,人工ノイズが少ない地点に磁場参照点を設置した.磁場参照点と断層近傍の観測点とはGPS時計を用いて時刻同期させてデータを取得した.S/N比を向上させるために,人工的な電磁気雑音が少なく,かつ信号源となる電磁場変動が大きくなる夜間(Garcia and Jones, 2002)に,12時間(18時~翌朝6時)にわたって測定した.
解析
B測線および三木測線で得られた電場,磁場のそれぞれ水平2成分から,Remote reference法に基づいて,10,400~0.35HzのMT応答関数を算出した.モデル計算に先立ちPhase tensor法 (Caldwell et al., 2004 ; Bibby et al., 2005) を用いて,比抵抗構造の次元と走向を求めた結果,両測線ともに2次元構造であり比抵抗構造の走向はN40ºW-S40ºEとなった.そして,Akaike's Bayesian Information Criterion (ABIC) による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード (Ogawa and Uchida, 1996) を用いて,深さ1kmまでの2次元比抵抗モデル(BWKBモデル,MIKIモデル)を求めた.
山崎断層帯主部では,断層セグメント個々の地下構造やそれらが互いにどのように連続しているかを明らかにすることを目的として,Audio-frequency Magnetotelluric(AMT)法探査が展開されている(e.g. Yamaguchi et al., 2010).ここでAMT法とは,地磁気地電流法の一種で,比較的高い周波数(数Hz~約10kHz)の電磁場変動を信号源とするので,地下浅部を,高い空間分解能で描出できる手法である.これまでに主部北西部では7測線,81観測点で行われているが,南東部では琵琶甲断層Aと三木断層の2測線,29観測点で行われているのみであり,南東部全体の構造を明らかにするには十分とは言えない.そこで,琵琶甲断層Aと三木断層の中間に位置する琵琶甲断層Bとほぼ直交する測線に沿う観測を新たに展開し琵琶甲断層Bの地下比抵抗構造モデル(BWK_Bモデルと呼ぶ)を求めた.また,三木断層を横切る測線で得られたデータ(勝村,2016)を再解析し,新たに三木断層の地下比抵抗構造モデル(MIKIモデルと呼ぶ)を求めた.
本発表では,これら2測線の比抵抗モデルの特徴をそれぞれ述べる.次に,琵琶甲断層Aを横切る2次元比抵抗断面(伊東ほか,2015)の比抵抗モデル(BWK_Aモデル)も加え,南東部全体の地下比抵抗構造の特徴を説明する.これらモデルの考察にあたっては,地質構造,重力異常,反射法地震探査などの結果も取り入れ,山崎断層系主部南東部の地下構造について発表する.
観測および解析の詳細は次に記す.
観測
琵琶甲断層Bと直交する長さ6kmの測線(B測線)を設定し,2015年2月21~26日に測線北部の12点で,2016年3月1~6日には測線南部の12点の合計24観測点で電場水平2成分(南北・東西)および磁場3成分(南北・東西・上下)の測定を行った.また,データ解析にRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いるために,北端の観測点から北北西に約18km離れ,人工ノイズが少ない地点に磁場参照点を設置した.磁場参照点と断層近傍の観測点とはGPS時計を用いて時刻同期させてデータを取得した.S/N比を向上させるために,人工的な電磁気雑音が少なく,かつ信号源となる電磁場変動が大きくなる夜間(Garcia and Jones, 2002)に,12時間(18時~翌朝6時)にわたって測定した.
解析
B測線および三木測線で得られた電場,磁場のそれぞれ水平2成分から,Remote reference法に基づいて,10,400~0.35HzのMT応答関数を算出した.モデル計算に先立ちPhase tensor法 (Caldwell et al., 2004 ; Bibby et al., 2005) を用いて,比抵抗構造の次元と走向を求めた結果,両測線ともに2次元構造であり比抵抗構造の走向はN40ºW-S40ºEとなった.そして,Akaike's Bayesian Information Criterion (ABIC) による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード (Ogawa and Uchida, 1996) を用いて,深さ1kmまでの2次元比抵抗モデル(BWKBモデル,MIKIモデル)を求めた.