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[SVC47-22] アクロスで捉えた2015年8月15日桜島マグマ貫入イベントに伴う地震波伝播特性の変化
キーワード:地震波速度変化、地震波散乱、応力感度
われわれは2012年9月よりアクロス(精密制御定常信号システム)震源を九州南部に位置する桜島火山の北西山麓に設置し、連続観測を行っている(Yamaoka et al.2014)。その桜島火山で2015年8月15日9:00頃から急激な火山性地震の増加と山体の膨張が確認された。この活動は、だいち2号によるSAR干渉解析結果(Morishita et al. 2016)やGNSS・傾斜変動などの解析(Hotta et al.,2016)から岩脈状のマグマが昭和火口直下に貫入したことによって引き起こされたものであることが明らかになった。本研究では桜島に設置してあるアクロスの記録を解析し、8月15日に発生したマグマ貫入イベントに伴う伝達関数の変化を明らかにした。
アクロス震源は偏心おもりの回転によって振動を発生させる装置である。回転は2時間ごとに反転し、信号の線形結合によって任意の方向の直線加振を表現できる。震源から発せられた地震波を周囲の地震観測点で捉え、観測波形を震源波形でデコンボリューションすることにより震源・観測点間の伝達関数(グリーン関数)が得られる。桜島火山におけるアクロスの運転は、2012年9月12日から2015年の8月19日まで、マグマ貫入イベントを含んで連続的に実施された。この一連のデータについて伝達関数の解析を行うことで岩脈貫入イベントに伴う地震波伝播特性の変化を明らかにした。
観測点の波形データをスタッキングし、一日毎の伝達関数の計算に加え、2時間毎の伝達関数の計算も行った。その結果、多くの観測点で2015年8月15日の9時から11時の間に伝達関数に大きな変化が見られることがわかった。この時間帯に降雨がなかったことから、この変動はマグマ貫入によるものであると結論できる。
より詳細な伝達関数の時間変化を調べるために非イベント時の波形を基準として、2時間スタックされた波形との相関を計算すると、地殻変動の開始とほぼ同時に相関が悪くなっていく結果を得た。また伝達関数の空間変化を調べるために、イベント前と後でスタックされた波形の初動から1秒間の相関係数の観測点分布をプロットしたところ、特に桜島山頂西側の大正噴火口列近傍の観測点で相関が悪くなることが分かった。さらに伝達関数の位相変化を計算したところ、火口列近傍では地震波速度が1%程早まり、火口列から離れた地点では変化が小さいことが分かった。これらの変化は貫入イベントに伴う応力増加に起因するものと考えられるとともに、大正噴火口列周辺では地震波速度変化の応力感度が高いことが分かった。
アクロス震源は偏心おもりの回転によって振動を発生させる装置である。回転は2時間ごとに反転し、信号の線形結合によって任意の方向の直線加振を表現できる。震源から発せられた地震波を周囲の地震観測点で捉え、観測波形を震源波形でデコンボリューションすることにより震源・観測点間の伝達関数(グリーン関数)が得られる。桜島火山におけるアクロスの運転は、2012年9月12日から2015年の8月19日まで、マグマ貫入イベントを含んで連続的に実施された。この一連のデータについて伝達関数の解析を行うことで岩脈貫入イベントに伴う地震波伝播特性の変化を明らかにした。
観測点の波形データをスタッキングし、一日毎の伝達関数の計算に加え、2時間毎の伝達関数の計算も行った。その結果、多くの観測点で2015年8月15日の9時から11時の間に伝達関数に大きな変化が見られることがわかった。この時間帯に降雨がなかったことから、この変動はマグマ貫入によるものであると結論できる。
より詳細な伝達関数の時間変化を調べるために非イベント時の波形を基準として、2時間スタックされた波形との相関を計算すると、地殻変動の開始とほぼ同時に相関が悪くなっていく結果を得た。また伝達関数の空間変化を調べるために、イベント前と後でスタックされた波形の初動から1秒間の相関係数の観測点分布をプロットしたところ、特に桜島山頂西側の大正噴火口列近傍の観測点で相関が悪くなることが分かった。さらに伝達関数の位相変化を計算したところ、火口列近傍では地震波速度が1%程早まり、火口列から離れた地点では変化が小さいことが分かった。これらの変化は貫入イベントに伴う応力増加に起因するものと考えられるとともに、大正噴火口列周辺では地震波速度変化の応力感度が高いことが分かった。