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[SVC47-23] 桜島火山における反復地震探査(最終回)
キーワード:桜島火山、構造探査、マグマ
本発表では2016年12月に行われた桜島火山における反復地震探査について報告し、これまでの探査で得られた地震学的応答の変化についてまとめる。
反復地震探査は桜島火山の活動に伴う地下構造変化を地震学的応答変化として捉える目的で、「災害の軽減に貢献する地震・火山観測研究計画」の一環として実施されてきた。
2016年12月に行われた本探査は2009年12月に始められた反復探査の7回目として、2014年の探査から2年ぶりに実施されたものである。2016年12月の探査は2015年8月の噴火未遂のあとで行われた初めての探査であった。今回の探査では従来からの地震反射断面上の変化検出を目的とした桜島北部から東部にかけて交差する2本の測線に加えて、2015年に貫入したとされるマグマの影響の検出目的として桜島東部から南部に至る1本の測線を設定し、14箇所の発破点と約250箇所の臨時観測点を展開した。
反復探査の2014年までの成果は、桜島北東部の海面下5.8kmに強度の変化する地震波反射面αを見いだしたことである (Tsutsui et al. , 2016, JVGR誌)。反射面αは Iguchi et al. (2013) の指摘する桜島島内の地盤変動源のやや北に位置する。反射面αは2009年に最大の強度となった後、それ以降は強度が減少していた。すなわち反射面αは2009-2010年のマグマ貫入に関連した変化は見せたものの、それ以降に発生した2011-2012年のマグマ貫入に対応する変化を示さなかった。
その後、筒井・他(2016,合同学会)はこれまで得られたデータをさらに検討した。測線外発破の観測記録にはTsutsui et al. (2016)の地震反射断面の位置よりも活動火口寄りの経路を通過してきた地震波が含まれている。筒井・他(2016)は測線外発破の観測記録に以下の3つの顕著な後続相が表れることを指摘した。
1) 海面下5.8kmからのPS変換波
2) 海面下4.7kmからのPP反射波
3) 海面下2.4kmからのPP変換波
これらはいずれも反射面αの南 2 kmにその発生源が推定され、その場所は Iguchi et al. (2013) が指摘する北岳北東斜面の圧力変動源の位置に一致する。特徴的なことは、1)は2012年の観測記録に著しく明瞭に現れ、3)は2014年の記録に明瞭に現れることであり、いずれも時間変化が認められることである。1)は先述のαの近傍でしかも深度が一致することから、αの延長であると解釈される。
2016年探査の観測記録は予稿投稿時点で解析が進行中であるが、生の波形記録から以下のことが伺われる。
a) 海面下5.8km(α)からのPP反射波は2014年より弱い。
b) 海面下5.8kmからのPS変換波はみとめられない
c) 海面下4.7kmからのPP反射波は強くなっている
d) 海面下2.4kmからのPP反射波も強くなっている
先述のように2016年探査は2015年8月の噴火未遂イベントの後に行われており、これらの変化は2015年の噴火未遂イベントの結果の構造変化を反映していると考えられる。本発表では観測開始以降の火山活動の推移と共に反射強度変化の推移をコンパイルし、2009年~2016年の期間の桜島のマグマの動きを考察する。
なお本研究は「災害の軽減に貢献する地震・火山観測研究計画」経費と気象庁経費、京都大学防災研究所経費で行われた。観測に用いた臨時観測点資材一式は東京大学地震研究所より借用した。ここに記して謝意を表します。
反復地震探査は桜島火山の活動に伴う地下構造変化を地震学的応答変化として捉える目的で、「災害の軽減に貢献する地震・火山観測研究計画」の一環として実施されてきた。
2016年12月に行われた本探査は2009年12月に始められた反復探査の7回目として、2014年の探査から2年ぶりに実施されたものである。2016年12月の探査は2015年8月の噴火未遂のあとで行われた初めての探査であった。今回の探査では従来からの地震反射断面上の変化検出を目的とした桜島北部から東部にかけて交差する2本の測線に加えて、2015年に貫入したとされるマグマの影響の検出目的として桜島東部から南部に至る1本の測線を設定し、14箇所の発破点と約250箇所の臨時観測点を展開した。
反復探査の2014年までの成果は、桜島北東部の海面下5.8kmに強度の変化する地震波反射面αを見いだしたことである (Tsutsui et al. , 2016, JVGR誌)。反射面αは Iguchi et al. (2013) の指摘する桜島島内の地盤変動源のやや北に位置する。反射面αは2009年に最大の強度となった後、それ以降は強度が減少していた。すなわち反射面αは2009-2010年のマグマ貫入に関連した変化は見せたものの、それ以降に発生した2011-2012年のマグマ貫入に対応する変化を示さなかった。
その後、筒井・他(2016,合同学会)はこれまで得られたデータをさらに検討した。測線外発破の観測記録にはTsutsui et al. (2016)の地震反射断面の位置よりも活動火口寄りの経路を通過してきた地震波が含まれている。筒井・他(2016)は測線外発破の観測記録に以下の3つの顕著な後続相が表れることを指摘した。
1) 海面下5.8kmからのPS変換波
2) 海面下4.7kmからのPP反射波
3) 海面下2.4kmからのPP変換波
これらはいずれも反射面αの南 2 kmにその発生源が推定され、その場所は Iguchi et al. (2013) が指摘する北岳北東斜面の圧力変動源の位置に一致する。特徴的なことは、1)は2012年の観測記録に著しく明瞭に現れ、3)は2014年の記録に明瞭に現れることであり、いずれも時間変化が認められることである。1)は先述のαの近傍でしかも深度が一致することから、αの延長であると解釈される。
2016年探査の観測記録は予稿投稿時点で解析が進行中であるが、生の波形記録から以下のことが伺われる。
a) 海面下5.8km(α)からのPP反射波は2014年より弱い。
b) 海面下5.8kmからのPS変換波はみとめられない
c) 海面下4.7kmからのPP反射波は強くなっている
d) 海面下2.4kmからのPP反射波も強くなっている
先述のように2016年探査は2015年8月の噴火未遂イベントの後に行われており、これらの変化は2015年の噴火未遂イベントの結果の構造変化を反映していると考えられる。本発表では観測開始以降の火山活動の推移と共に反射強度変化の推移をコンパイルし、2009年~2016年の期間の桜島のマグマの動きを考察する。
なお本研究は「災害の軽減に貢献する地震・火山観測研究計画」経費と気象庁経費、京都大学防災研究所経費で行われた。観測に用いた臨時観測点資材一式は東京大学地震研究所より借用した。ここに記して謝意を表します。