[SVC47-P07] 三宅島の最近の活動評価と2016年5月ガス噴出イベント
キーワード:三宅島、地殻変動、火山ガス
三宅島では2000年噴火以降、活動は徐々に低下し、2013年1月22日を最後に噴火は発生していない。また一時期は1万トンを越えていた火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は年々減少し、最近では検出限界近くの値となっている。火口内においては、主火孔付近の熱活動は近年低下の傾向を示しており熱異常域は2016年9月以降より狭まる傾向が観測されている。
一方で火山性地震や地殻変動について、火山性地震は山頂浅部において少ないながら定常的に発生し、火山性微動も時々発生している。またGNSS観測によると比較的長い基線では2006 年頃から伸びの傾向がみられており、これは深部へのマグマ蓄積が継続していることによるものと考えられる。短い基線においても2000年以降からの縮みの変動が2013年頃からの停滞を経て、2016 年初め頃には基線が伸びる傾向に転じている。
そのような活動のなか、2016年2月と5月に地殻変動を伴う火山性微動が発生し、微動発生後には二酸化硫黄放出量の一時的な増加が観測された。特に5月のイベントは2月のイベントに比べて顕著であり、火山性微動発生とともに傾斜計では南東から南方向が沈降する変動が観測され、直近の観測では1日あたり100トン程度だった火山ガスの放出量が、微動発生後には一時的に1,200トンまで増加した。火山性微動と傾斜変動は時系列で2つに分けて考えることが可能で、傾斜変動について茂木モデルを仮定して圧力源を推定したところ、はじめはやや深い位置の収縮源が支配的で、その後は火口直下の膨張源が増大する2つの圧力源の変化により説明できた。また火山性微動の振幅は火口直下の膨張源が増大した時間帯で前の時間帯に比べて大きくなっていた。振幅比を用いて推定した微動源(Ogiso、2015)の位置は、傾斜変動より求めた浅部の膨張源の位置と調和的であった。体積変化量の時間経過と火山性微動後の火山ガス放出量の増加から、2016年5月に見られた一連の変動はマグマから分離した火山ガスの移動によって生じたやや深い場所での体積変化が火口直下浅部に伝播したものと考えられる。
一方で火山性地震や地殻変動について、火山性地震は山頂浅部において少ないながら定常的に発生し、火山性微動も時々発生している。またGNSS観測によると比較的長い基線では2006 年頃から伸びの傾向がみられており、これは深部へのマグマ蓄積が継続していることによるものと考えられる。短い基線においても2000年以降からの縮みの変動が2013年頃からの停滞を経て、2016 年初め頃には基線が伸びる傾向に転じている。
そのような活動のなか、2016年2月と5月に地殻変動を伴う火山性微動が発生し、微動発生後には二酸化硫黄放出量の一時的な増加が観測された。特に5月のイベントは2月のイベントに比べて顕著であり、火山性微動発生とともに傾斜計では南東から南方向が沈降する変動が観測され、直近の観測では1日あたり100トン程度だった火山ガスの放出量が、微動発生後には一時的に1,200トンまで増加した。火山性微動と傾斜変動は時系列で2つに分けて考えることが可能で、傾斜変動について茂木モデルを仮定して圧力源を推定したところ、はじめはやや深い位置の収縮源が支配的で、その後は火口直下の膨張源が増大する2つの圧力源の変化により説明できた。また火山性微動の振幅は火口直下の膨張源が増大した時間帯で前の時間帯に比べて大きくなっていた。振幅比を用いて推定した微動源(Ogiso、2015)の位置は、傾斜変動より求めた浅部の膨張源の位置と調和的であった。体積変化量の時間経過と火山性微動後の火山ガス放出量の増加から、2016年5月に見られた一連の変動はマグマから分離した火山ガスの移動によって生じたやや深い場所での体積変化が火口直下浅部に伝播したものと考えられる。